Cross Destiny
〜神竜の牙〜@-23
「観念したのか?」
アルスが剣を向けながら言い放つ。
「勘違いをするな、できるだけ人目を避けたかっただけだ。」
レーヴェスは槍に巻いてある布を取った。
レーヴェスがトロルを倒した時は目を向けていなかったため、気付かなかったが その槍は非常に美しく神々しい輝きを放っていた。
槍を構えるレーヴェスを見てアシェルは星石を取り出す。
「いい、お前は手を出すな。」
レーヴェスは意外にも正々堂々としているのか、よほどの自信があるのか一人で戦うつもりだ。
「でも・・・・目的を成すのが第一でしょ?私情を出してはいけないわ」
アシェルは一人で相手をしようとするレーヴェスを説得しようとした。
「黙れ、関係ない」
レーヴェスは振り払う。
「もう!!」
アシェルはふてくされながら後退する。
「何のためにルナを狙う?
目的は何だ?」
アルスは問う。
「知る必要は無い。お前はここで死ぬ!!」
そういいながらレーヴェスは左腕に巻いてある布を取った。
すると腕に翼のタトゥーが見えた。アルスはそれを見て、驚愕する。
「翼のタトゥー・・・お前達は・・・黄泉羽?」
【黄泉羽とは八人の戦闘員からなる非所属組織だ
詳細は不明で
戦争や暗殺など世界中で暗躍している。
彼等の目的が何なのかは誰も知らないが、その恐るべき強さから敵に回した瞬間に死が決定すると恐れられている。】
「黄泉羽だったとはな・・・・どうりで強い筈だ。」
アルスは微笑む。
「なにがおかしい?」
「黄泉羽、一度手合わせしたいと思っていた。」
「ふん、命知らずだな」
そう言い終えるとレーヴェスが突進し、アルスに向かって突きを繰り出す。
アルスはそれを剣で受け止める。
「くらえ!!」
そしてアルスも斬撃を繰り出す。
レーヴェスもまた、それを槍で受け止め、剣と槍が交差する形になる。
丁度その時、フォルツとルナもたどり着く。
フォルツはレーヴェスの腕のタトゥーに気付き、二人が黄泉羽だということを理解した。
「アルス 加勢するか?」
「余計なことをするな!お前はあの女を見張ってろ。」
加勢しようとするフォルツをアルスが断った。
そしてフォルツ達が到着したのに気付いたアシェルがフォルツを睨む。
「お前の相手は俺だ」
フォルツが戦闘体制に入るとアシェルは星石の玉を懐にしまった。
「勘違いしないで、私はあなたとは戦う気は無いわ」
「んだと?」
「魔導士同士の私達が戦いあってその子を巻きぞいにしてしまったらお互い困るでしょ?
あの二人の戦いを観戦しましょ」
アシェルは笑顔で言った。
フォルツはルナをちらっと見てから、納得したように杖をおろし
アルスを見守る。
一方鍔競り合いを行っているアルスとレーヴェス。
「ハアアア」
レーヴェスがアルスを押しのける
「くっ」
アルスは後ろに弾き飛ばされたがすぐに体制を立て直した。
アルスは戸惑っていた。今ままで数々の魔物を倒してきたアルスだが、自分と同等の、あるいは強い人間と命の取合いをしたことが無かったからだ。
「どうした?剣が鈍っているぞ。」
「黙れ!!」
アルスは剣を振り下ろした。
しかしレーヴェスは軽々と避わす。