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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス8-2

映画館に着いて、カウンターでチケットを見せる。
「あ-、はい。7番の劇場ですね。」
店員は月下に飴を1つ手渡し、ごゆっくりと言った。
「…ごゆっくりって?」
「さぁ?」
店員の言った言葉の意味が分からず、2人は首を傾げた。
「あ、ストロベリー味だ」
月下は貰った飴をもう舐めていた。
「ねぇ、月下。7番ってどっち?」
「7番はね、一番奥なんだけど…あたしも初めてなんだ。7番の劇場」
「そうなの?月下、よく結ちゃんと映画見に来るよね?」
「うん。でもこんなに奥に来たことない。」
月下は飴をガリガリ噛みながら答えた。
「あ、あそこだ。」
薄暗い通路の終点は、あまりにも官能的なポスターで締め括られた。
「「…」」
2人は言葉が見つからず、じっとポスターを見つめた。
「「…まじでか!!」」
仰向けの男性の上に跨がる金髪女性。女性の顔は、目元が女性の指で隠されているものの、唇と唇を舐める舌、そしてマニュキアを塗った爪の真っ赤な色が、官能的だ。
『お熱い夜を…』
含み笑いを浮かべ、2人にチケットを渡した結の顔が脳裏を過る。
「結ちゃんの表情の意味…分かったね」
「うん…」
2人は顔を見合せ苦笑した。
「…どうする?」
「宏樹は…?」
「…ちょっと見たい」
「正直で宜しい。じゃ、行きましょう」
「はい…」
宏樹は月下に手を引かれるがまま、劇場の中に足をすすめた。
ぐいぐい進む月下に、月下のが見たかったんじゃないのかな…なんて宏樹は思った。

―…
映画館の中はちらほらカップルらしき2人組がいる…らしい。
というのも、7番の劇場は全てカップルシートになっていて、隣との間が広くとられているため、定かではないのだ。
「後ろにしよ…」
「あ、うん」
ポスターから判断してR指定が課せられる内容だという事は避けられないだろう。
(ちょっとドキドキするな…)
正直、宏樹は落ち着かなかった。
席に着くと、ブーっと始まりを告げるブザーが鳴った。
「「……」」
(は…激しい…!!)
映画のストーリーは、遠距離恋愛で久しぶりにあった清楚な彼女がSに目覚めていた…という、クリスマスには何も関係のない話だった。
(こんな卑猥な言葉、字幕にしていいのだろうか…)
宏樹はう-んと唸った。
―びくっ
「え…」
宏樹は太ももに何か伝う感覚がして、思わず声を出してしまった。
「ちょ…月下…?」
それは、月下の手だった。
「ん…?」
「ん?じゃなくて…」
暗闇だからよくはわからないけれど、それでも月下が微笑している事はわかる。
「…ッ」
月下は微笑む。宏樹の股間をさすりながら…。


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