ヴァンパイアプリンス4-6
「…変になっていいッ俺が傍にいるからッ」
宏樹は苦しそうな顔をした。
「宏ッ…樹…苦しいの?」
月下は不安を隠すように、宏樹の手を強く握る。
「違う…月下の中、良すぎなんだッ」
宏樹は月下にキスをした。
「…一緒にイこう」
「うん…」
宏樹は月下の唇だけでなく、おでこ、目蓋、頬にキスを落とす。
「宏樹ッ…焦らさないでよ…」
月下は焦れったくなって、催促した。
「も…それだけでイキそうだもん…」
宏樹はクスッと笑った。
「はいはい…もう待たせないよ。」
そして宏樹はゆっくり腰を動かし始めた。
「はッ…んんッ」
月下は目を閉じた。
「気持ち…イイッ」
宏樹は月下と繋いだ手を、ぎゅっと握る。
「名前…呼んで?」
「宏樹…あッ」
宏樹は腰をうまくグラインドさせた。
「あッ宏樹ッ宏ッ樹ッもぉッ…」
月下は脚をがくがくさせる。
絶頂が近い証拠だ。
「宏樹も…名前…」
「うん…月‥下ッ」
宏樹に呼ばれた名前が心地よくて…
月下は次の瞬間果てた。
「…愛してる…月下。」
宏樹も月下が果てた後に、月下の中で果てた。
最後の言葉は月下に聞こえていたかはさだかではないが、月下もきっと同じ事を思っているだろう。
―…
「…んん…」
月下が目を覚ますと、宏樹はさっきまで月下を乗せていた机に向っていた。
月下は宏樹の制服をかけられ、ソファに寝かされていた。
「(あ…下着ちゃんと着てる…)」
月下は少し照れながら、下にたたんである制服を身につけた。
「ん?…あれ?何コレ…」
月下が何気なく見た指には、見覚えのないシルバーリング。
「おはよう、月下。」
「宏樹ッコレ!!」
宏樹はにこッと笑って、自分の手を月下に見せた。
「あ…同…じ?」
「そう。うちの親父から。」
「宏樹のお父さん?…あぁ〜…」
月下は指を上にかざしてみた。
「月下にって。」
宏樹は月下の隣に座る。
「つけてやってくれるかな?」
月下は大きく頷いた。
「嬉しい…すごく嬉しいよ…」
月下の目には涙が浮かんでいた。
「…いつか」
宏樹は遠くを見て言った。
「いつか…本物あげられたらイイなって思ってる…から。」
いつもの余裕の表情の宏樹はそこにはいなくて、代わりに照れて顔が赤くなった宏樹がいた。
「…はい、待ってます」
月下は嬉しくて、満面の笑顔で答えた。月下の顔には、悲しみのない涙が頬をつたっていた。
いつの日か
きっと
人間と吸血鬼の
壁を越えて…
まぁ物語の最初から
二人には壁なんて
存在しなかったのかもしれないけれど
近い将来二人はきっと…
完