サンダーぱにっく。-5
「よし!下着付けたし!もう安心ッ」
和泉も風呂から上がっていた。
「…ん?」
和泉は何気なく鏡を見た。
「筋肉すご〜い!!芳樹って意外にがたいイイんだ!!」
和泉の目には、普段見ることの出来ない芳樹の姿があった。
「…テニス部だっけ。黒いなぁ…。」
芳樹の腕にはくっきりと日焼けの跡があった。
「…エロい体。」
黒く引き締まった体に、和泉は魅力を感じていた。
「芳樹…どうしてるんだろう」
和泉はもそもそと、スウェットを身につけた。
「…メールしてみるか」
頭から零れる水滴にタオルを被せて、和泉は風呂場を離れた。
―ガチャ
「ふぁ〜ッ」
芳樹は部屋に着くなり、すぐにベッドに倒れこんだ。
「…女も悪くねぇな。」
芳樹は風呂での出来事を思い出していた。
―ガチャ
「和泉。」
芳樹が胸へ手をしのばせようとした時、いきなり部屋のドアが開いた。
「なッ!何?」
芳樹は急いで手をどける。
「お母さん、そろそろ行くから。戸締まりしっかりね?」
「え…何処へ?」
芳樹はベッドから身を起こした。
「いやね。何処って、病院よ。今日遅番だから」
「あぁ〜…わかった。行ってらっしゃい。」
和泉の母は、不思議そうな顔をしたが、時計を確認して部屋を出ていった。
「ふ〜ん…和泉の母親は看護婦とかか。」
芳樹は再びベッドに横になる。
―ピロピロピロ〜♪
「ん?」
お馴染みのグループの着メロが、机の上で鳴っていた。
「誰だぁ〜?」
芳樹は携帯を取った。
「…和泉。」
「…お風呂入ってるかな?」
和泉は頭を拭きながら携帯を閉じた。
「9時半か。あ。今日お母さん遅番じゃん。」
和泉はCDの音量を上げる。
「…返事くるかな…」
和泉はお気に入りの曲をセレクトした。
「…にしても…キレイな部屋。」
和泉は部屋をまじまじと見る。
CDケース周辺以外はキレイに整頓されていた。
「エロ本とかないのかなぁ〜?」
和泉はベッドの下を覗き込んだ。
―ピロピロピロ
「お?」
手を伸ばした瞬間、タイミングを見計らったかのようにメールが届いた。
和泉は携帯を取る。
「え〜と…」
メールにはこう書いてあった。
『来い』
「は!?」
和泉は驚いたが、自分の家に帰るのに緊張する必要がないと気付き、すぐにメールを返した。
『わかった』
和泉は急いで服を着替え、部屋を飛び出した。
―ピンポーン
「お、来たか。」
芳樹はドアを開け、和泉を招き入れる。
「…こんばんは」
「…?」
和泉は不自然な態度をとる。まぁ当然だ。きっとお風呂での出来事が彼女の態度を不審にさせているのだろう。二人で和泉の部屋に腰を下ろす
「和泉?」
芳樹は不思議そうに和泉を覗き込んだ。
「…はは〜ん。」
芳樹は意地悪な笑みをこぼす。
「お前アレだろ。風呂入った?」
和泉は図星を突かれ、動揺しまくりだ。
「気持ち良かった?男の体は。」
芳樹はわざわざアソコを指で指した。
「なッ…」
和泉は顔を真っ赤にした。
「俺の顔で照れるなよ」
芳樹は苦笑した。
「で?どうだったの?」
にやにやしながら和泉の目を見る。
「あ…あたしの顔で意地悪な顔しないでよ」
和泉は恥ずかしくなってベッドに伏せた。
「ははッ。俺は女はスゲエと思うぞ?」
「へ?」
和泉は驚いて顔を上げた。
「まさか…」
「お前だってヌいたんだろ?俺の体で。」
芳樹はお互い様だろっと言いたげに、和泉をこづいた。
「ッ…」
和泉は顔を赤くして、それ以上何も言わなかった。
「…なぁ。」
芳樹は和泉の隣に座った。
「何…?」
和泉は不思議そうに芳樹を見る
「…試してみたい。」
「な…にを?」
芳樹は悪戯を企むガキのような顔で言った。
「…セックス」
和泉の時間は一瞬止まった。
「女の体で経験なんてめったに出来るようなもんじゃないだろ?」
芳樹の目はキラキラと輝いていた。
「ちょっと待って…じゃあ、あたしの初体験は芳樹が経験するって事なの!?」
和泉の時間はようやく元のスピードで流れるようになった。