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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス3-6

―プルルルル
「ん?電話だ。」
宏樹が階段に足をかけると、突然電話が鳴った。宏樹は急いで受話器をとる。
「ハイ、水無月です。」
―…
「親父、またおかんと喧嘩したんだろ。」
雅人は濡れた頭をタオルでごしごし拭いた。
「なッ…ソンナコトナイヨ!キミタチニアイタカッタンダヨ!」
父は雅人に絡み付く。
「わッ!親父ッ」
「…ん?」 
父は鼻をくんくんさせた。
「お前…まだ女知らないのか。」
父はニヤニヤしながら、雅人を撫でる。
「もう、そろそろ…ツラいだろ。生身の血じゃナイと。」
父は雅人のおでこに手をあてる。
「顔色悪いぞ。…早く女見つける事だな。」
雅人は頷いた。
「…最近、二日しか保たなくなったんだ…パックの血…」
「そうか…」
―ガチャ
「親父、電話。」
「……紗詠子か?」
宏樹が受話器を持って、部屋に入ってきた。
「んん。そう。」
父はおずおずと受話器を受け取る。
「…もしもし」
父は受話器を持って、部屋を出た。
「…雅人。」
「ん?」
宏樹は何も言わず、そっと頭を撫でた。
―ガチャ
「お前達!父は帰るぞ!今度は紗詠子も連れて帰るからな!!じゃ、元気で!」
父は満面の笑みで、別れを告げ、元気よく家を後にした。
「じゃぁなぁぁぁ!」
父は外に出ても、手を降り続けた。
そんな父を窓から見下ろす二人は、顔を見合わせて苦笑した。

父は嵐のようにやってきて、嵐のように去っていった。

「どうせおかんが折れたんだろ。」
「まぁそうだろうな。」
二人はリビングで、父の持ってきたおみやげを物色する。
「まったくッ。おやじも量考えろよなッ」
雅人は飽きずに一つづつおみやげをあけていく。
「ん?何だこれ。」
宏樹は見ていたテレビから、視線を外す。
「ん?」
「ホラ。」
雅人の手には、他の袋より一回り小さい袋が二つあった。
「あ、名前書いてある」
雅人が裏を見ると、一つづつに雅人と宏樹の名前がそれぞれ書いてあった。
「これ、兄貴の。」
「サンキュ。」
雅人はソレを宏樹に手渡した。
「何だろう?」
雅人が袋を開けたので、宏樹も開けてみた。宏樹の袋の中には、ペアリングが入っていた。
「…コレ。ん?」
リングの他に、一枚の手紙。宏樹は手紙を開いた。
『最愛の人にあげろ』
「はッ?!」
紙一杯に一言、ソレだけ書いてあった。
(まぁ親父らしいけどなぁ…)
宏樹はリングをはめて、光にかざしてみた。
「…。」
(…恥ずかしい)

次に月下に逢ったら
このリングを渡そう
きっと
一緒につけようって
言うんだろうな。

宏樹はリングにそっと唇を付けた。
そしてちょっぴり恥ずかしくなった。




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