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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・返り咲き〜-15

『………あっ!』
『あっ?』
突然、思い出したのだ。
何でキシンの屋敷に行ったのかを。
体を起こしてお互い見つめあった。
『なんで昨夜来なかったのよ?』
と問うとキシンは首を傾げた。
『昨夜?』
『手紙くれたでしょう? 今夜お邪魔するよって。
私は待ってたんだけど。』
キシンは何度か首を捻って考え込んでいた。
『俺は三日前の夜に行くから、今夜行くよって出したんだけど。』
『はっ?』
なにやら変な話だ。
『三日前の夜に行ったら窓閉まってるし、アルネは寝てるし。
何で寝てたんだよ?』
三日前? 確か普通に寝たからキシンが来る時間には寝たいただろう。
このすれちがいの理由はなんなのだろう。
だが、私はちょっと信じられない理由を思い付いてしまった。
『手紙出したの………いつよ?』
『へっ? 三日前の朝だけど。』
『………今まで郵便使ったことは?』
『あ〜、無い。』
フフフ、当たっちゃった………
私の予想通りの馬鹿な理由が。
『この………』
右手に力が篭る。
『馬鹿キシンがぁぁぁ!!! 郵便は出した日には届かないのよ!!』
右ストレート(回転有り)がキシンの頬をえぐり、壁までぶっ飛ばした。
『ぎゃふ………つ、強い………』
『はぁ………はぁ………馬鹿馬鹿馬鹿!! 郵便使うなら、約束の日付を書きなさい!!』
追加の一発を放とうとするがキシンは素早く窓の外に逃げ出した。
『ご、ごめん! 悪かった! すみません!』
『そのせいで風邪引いたじゃないの〜〜!!』
怒り爆発の私から逃げるように走りさるキシンの後ろ姿を見て深呼吸をして一旦怒りを抑える。
『キシン〜! 三日に一度は来てね〜!』
私の声に振り返ったキシンがニコリと笑った。
ちょっと距離があるけど、ちゃんとわかる。
『もちろん! これからは大分暇が出来るから、ちゃんと会いに来るぞ〜!』
手を振って、キシンを見送る。
『アルネ〜! そのうち、結婚してくれ〜!』
突然の求婚だ。
が、私も望みは一緒、キシンとずっと一緒に居たい。 だから私はすぐに叫ぶことが出来た。
『良いわよ〜! ちゃんと会いに来てくれたらね〜!』
申し出が叶った恋人は嬉しそうに跳びはね、やがて見えなくなった。
だが、私はまだ恋人が帰っていった方を見ていた。
なんだか今までの心のもやもやが全部消えてすっきりしたような気がする。

本日、私の心は快晴。

だが、こんな庭で大声で叫んでしまったため、明日には紅館の全員に私の婚約を知られてしまったのだった。

明日、嵐。


    紅館の花達
〜金美花・返り咲き〜 完


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