微笑みは月達を蝕みながら―第壱章―-9
何故か心臓が、高鳴った。
「夕くんは」
白は先を歩き、表情が見えない。
「……大切なヒト、いる?」
何を考えているのか。
「私はね、いた」
何を感じているのか。
「今日――夢を見た。ずっと思い出すことなんてなかったのに」
何を、想っているのか。
「予感、だったのかもしれない」
「…………」
「ここ」
いつのまにか扉の前にいた。扉を開ける。少し湿っぽい空気が充満した、何も無い部屋。
「後で、寝具は持ってくるから」
そう言って出ていこうとする白の手を――夕は掴んだ。
「――…お、俺……」
「――――」
透明な表情。でも瞳に、
「そ、の……」
その瞳に、浮かんでいるのは――諦め、だった。
「駄目、かな?」
白は何も言わない。
代わりに、白の顔が近付き――唇を、合わせる。深く、深く。
「好き。私は、あなたのことが好き。たったこれだけの時間しか過ごしてないけど」
また、唇を合わせる。夕は白の背に手を回した。抱き締める。強く強く強く。
舌が中に入ってくる。唾液が沢山出てきて、夕はそれがとても甘いものだと知った。上顎から歯の裏から口腔内の襞まで、全てを知り尽くしているかのような白の舌の動きに、陶酔する。
キスがこんなに気持ちいいものだなんて、知らなかった。
「それだけは、絶対に本当だから」
唇が、離れる。言葉の意味は、分からない。
だから言葉を止めて、本能に任せることにした。
ジャージを脱がせる。小ぶりだか形のいい胸は、乳首がピンと立っていた。
「初めて? こういうの」
「え……」
その通りだった。キスはしたことはあるけど、その先は全く経験が無い。
「いいよ。好きにして……全部受け止めるから」
そう言って笑ってくれる白を、優しい子なんだと思った。
上の服を脱がせる。ブラはしていなくて、小ぶりだけど形のいい乳房がポロリと出てきた。
恐る恐る、触ってみる。
「あ……」
柔らかい。肌は少し汗ばんでいて、ひんやりとしていて、握ったらその形にぐにぐにと卑猥に変形する。
それが異様に、気持ちいい。
「あ、ああ……」
控え目な嬌声に、ますます興奮が高まっていく。
乳首に、吸い付いてみた。
「んっ!!」
舌で転がすと、乳首がどんどん硬く尖っていく感触が分かって、それが面白くてどんどん転がす。
「ん、っ! はあぁん……!」
肌が吸い付くようで、滑らかで、張りがあって、いつまでも触っていたい。
徐々に下に移る。へその周りを舐めてみた。
「や、あ…」
夕の息も荒くなっていく。白はいつの間にか下の服を脱いでいて、下着だけになっていた。
「夕くん……」
白が初めて動いた。夕のズボンのチャックを下ろし、予想以上の力でベルトを引き抜く。
膨張した肉棒が飛び出した。パンツを下ろし……肉棒を、握り締める。
「あぅうっ!!!」
根元を強く握り締めたかと思えば亀頭をごく弱く擦ったり、刺激に緩急をつけて飽きさせない。
そしてまだ皮が被っている亀頭を、上手く剥いてくれた。
「痛くない?」
「全然……気持ちいい」
白が顔を上げた。目が合った。二人は笑う。
白が膝立ちになった。それを受けて、パンティを下ろす。湿っていて、陰毛がパンティに張り付いていた。