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記憶の鎖
【ファンタジー その他小説】

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記憶の鎖〜陰謀〜-2

―カモサバイカ近郊の草原―
「さあ、殺し合いを始めようか」
すると響太が問い掛けた。
「お前の目的は何なんだ!?」
「俺の目的はあの御方の望みを果たすこと…。そして、あの御方からの命令通り、てめえに絶望を与える」
「あの御方ってのは誰だよ!?」
しかし、その問いに若い男は答えようとはしない。
「…そんなことてめえには関係ねえ。てめえはここで死ぬんだ…この俺、ヘイガルに殺られてな!」
すると、ヘイガルの姿が消えた。
「響太!うしろだ!」
とっさに響太は荘介の声に反応して、ヘイガルの攻撃を防いだ。
「ぐっ…でやあぁぁ!」
響太は力任せにヘイガルを弾き飛ばした。
「フフフ…なかなかやるな。この『デスパイアー』の初撃を防ぐとは…だが…フッ、無意味だ」
ブシュウ!
「ぐっ!?」
響太の腕から血が出ていた。
「うそ…。だって今、ちゃんと防いだはずなのに…」
恵理香は自分の目の前で起こった出来事に、ただ驚くしかなかった。
「フフフ…馬鹿め…!俺のこの剣は『相手の防御を無視して斬撃を与える』ことのできる、三大神剣の一つ…いくら堅い物で防ごうが、デスパイアーの前には無に等しい」
「三大神剣!?」
響太にとってそれは初めて聞く言葉だった。
「…三大神剣は、このカイザに存在する、至高の剣のことさ。確か…『デスパイアー』・『インフィニティ』・『オリジン』…だったかな?…だが、俺も見るのは初めてだ」
荘介は今までに三大神剣を手に入れようと考えたことは無かった。
「どこにあるか分からないから」という一般的な理由もあったが、それよりも「自分には扱えないだろう」という考えの方が強かった。
「ほう、なかなか物知りだな…だが、俺は血に飢えているんだ…。てめえの知識じゃなくて、血が見てえなあ!?」
「くそっ!どうすれば…」
するととっさに恵理香は呪法を唱えた。
「闇を照らし出す光よ、彼の者を断罪の聖なる剣で浄化せよ!ホーリーパラクティス!」
すると、ヘイガルの下に光の陣が描かれた。そして天空からは巨大な聖なる剣がヘイガル目掛けて降ってくる。
「フ、そんな剣など俺に効かねえ…!?」
しかし、剣はヘイガルの上で停止した。
「馬鹿ね…この呪法は最初は剣じゃないの…陣に効果があるのよ」
陣が光りだす。
「くっ、こんなもの逃げれば…がっ!?」
ヘイガルの頭上の剣から雷が落ちる。
「その剣は動きを止めるためにも使うの。飾りだと思ってた?」
「…すげぇ…。いつの間にあんな強くなったんだ…?」
響太は恵理香があんなに強いのは初めて見た。
「…そうか、解放したな…。」
荘介はあの力に気付いた。
「解放って…何をだよ?」
「『高呪内装』…生まれつきこの力を持った人がまれにいるんだよ。この力を持つ人は身体に凄く高い呪力を秘めている…だが、あまりにも大きすぎて、ほとんどは制御できず使えないんだがな。ほら、だから恵理香の場合、腕に特殊な呪封具を5つぐらい付けているだろ?そして今、その内の1つを外した…それを『解放』と言うんだ。まあ、1つだからまだ完全解放の力には及ばないが、それでも十分強いはずだ。」
「荘介はほんとにいろいろ知ってるな!すげぇ…思わず感心したぜ」
「……。」
荘介は、響太は本当に何も知らないな…というか知らないほうがある意味凄いと思ったが口には出さなかった。
「浄化!」
ヘイガルは陣から放たれる特殊な光に覆われた。
「くっ…なんだこれは…。力が…」
「この光を浴びた者は、次第に力が入らなくなって、動けなくなるの。そして…」光が4つの剣を作りだした。「光はやがて剣へと形を変え…」
4つの剣はヘイガルを貫いた。


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