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記憶の鎖
【ファンタジー その他小説】

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記憶の鎖-1

「おい、しっかりしろ!…なに寝てんだよ、起きろよ!おい!」
しかし、彼はぴくりとも動かない。
「どうして…こんなことに…!くそぉぉおお…!」
ぽつぽつと降る雨はその勢いを弱めることなく、次第に激しくなっていった…。
-五ヶ月前-
俺は今、『コール』という所にいる。
「はあ!?またかよ…めんどくせえな…」
またいつもの仕事だ。『魔人(まと)』と呼ばれる者たちを倒す『狩魔人(ヴァーライズ)』を俺はしている。
…というかやらされている、と言ったほうが正しいか。
「こら、響太!はやく契約書書いて!」
いま俺に言ってきたのは紺野恵理香(こんのえりか)、俺と同じ17歳の狩魔人だ。
契約書というのは、魔人を倒しにいく時に書くものである。これを書かなければ違反と見なされるのである。
「毎回これが一番めんどくせえ…。ったく、せめてもう少し楽にできないのかよ…」
「ごちゃごちゃ言わないで書く!」
「はいはい、分かったよ。えっと、
半野響太(なかのきょうた)
17歳

狩魔人階級(ヴァーライズランク)→D
紺野恵理香
17歳

狩魔人階級→F
転送場所→ラクトハイズ
…で、オッケーだな」
「え〜、またラクトハイズ?」恵理香は不満そうに言う。
「しょうがないだろ。お前が弱いから、初心者にうってつけのラクトハイズしか行けないんだよ…。」
「弱くて悪かったわね!」
『カイザ』と呼ばれるこの世界には、8つの地方が存在する。
『ラクトハイズ』『ジェターロ』『ダイモンロ』『エーラズアスト』…まあ、俺もランクがまだ低いので、これくらいしか知らないが。
その中でもラクトハイズ地方は魔人のレベルが比較的低いので、初心者の狩魔人向けなのだ。
ついでに、コールという所は狩魔人専用の大きな町である。中央に位置し、狩魔人の証明書が無ければ入ることは許されない。
「なんで俺がこんな事をしなくちゃならないのかねぇ…。」
「仕方ないでしょ!響太はお父さんから、狩魔人階級がSSになるまで家に戻って来るな、って言われてるんだから。」
「わけわかんねぇよ…。なんでわざわざそんなこと―」
「ほら、行くよ!」
「いてて!引っ張るなー!」俺たちはリケイルという、初心者の中では少し名の知れたチームだ。
「転送装置に着いたわ。さあ、行くわよ!」
「あ、ああ…。っいたたた…くそ、まだいてぇ…」
「いつまで痛がってんの!?まったく…。」
「そんなこと言うけどなぁ、お前が引っ張るとマジで痛いんすけど…」
ヒュン!……
「―ふうっ!」
やっと着いた。俺たちが今転送されたのはラクトハイズの町、『ハマ』だ。
「じゃ、さっそく魔人狩りに行くか!」
「いつでもオッケーよ!」
―外ー
「ガウゥゥゥ!」
「おっ、けっこう強い魔人が出やがったな!いくぜ、でやあぁぁぁ!」
響太の剣が魔人を貫いた。
「グアァァァァァ!」
「とどめは任せて!サーティカルフレイム!」
恵理香の身体が光る。次の瞬間、魔人に無数の炎が降り注いだ。
「ギャアァァァァ!」
「おぉ、上位呪法か!しっかし、もう少し強いと思ったが意外と余裕なんだな」
その時、魔人の下の地面に呪法陣が現れた。


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