幼き被害者-9
太腿への接触は、痴漢行為としては初手である。
しかし、そこが無感覚なワケは無い。
じっくりと摩ると皮膚は微細な痙攣を見せ、更に内腿に触れると筋肉は爆ぜた。
「イヤだしつこいぃぃッ!!い、いつまで触ってッ…や"あ"ぁ"あ"ぁ"ッ!!!」
振り絞った《勇気》は、そらを守ってはくれなかった。
事態の好転は何処にも見られないままだった。
二人の指先は舌のように蠢いている。
文字通り、舐めるように太腿や内腿を這い回り、そしてその指先はスルリと駆け上がり、股布から伸びる裏筋へと到達した。
(や、やめてあげてえッ!たまちゃんが……たまちゃんが壊れる……ッ)
麗世の目に、瞬きすら忘れたように眼球を剥き、下半身を犯してくる二人に向かって叫び狂うそらの姿が映っていた。
凄まじい恐怖に歪んだ顔は、泣いているというより笑っているようにも見える。
傍観者の麗世ですら胸が張り裂けそうなほどの激痛を感じているのに、その当事者であるそらの痛み≠ヘ……。
「なんて言ったらやめてくれるの!?私の身体に触らないでぇッ!!んぎひッ……あ、あなたのオモチャじゃないんだからあッッッ!!!」
それぞれにしゃがみながら太腿に抱きつく男共の視線は、前みごろから股布にかけての膨らみ≠ノ粘りついている。
時折り顎を上げて顔を近づけ、わざと音を発てて嗅ぐ仕草までしてくる。
そらは今15才。
あの幼かった頃から成長した少女の、その羞恥の度合いは比べるにも愚かであり、やはり女性として成長≠キるのは《禍い》しか招かないと痛感していた……。
『ん?コレは何だろう……そこの君、ちょっとコレ見てくださいよ』
『な…何でしょうねえ?イヒッ!?ヒヒ?そらちゃん、この《ポッチ》は何なのお?』
「ん"ぎぎッッッ!!??」
そらにしがみつく二人は、股布より上の前みごろに浮き出た突起≠ノ気づいた。
さっきまでは何も無かったのに、今になって現れたという事は……それは埋もれて《隠れていたモノ》が隆起したからに違いない。
好奇の眼差しが突起を凝視する。
まるで蚊に刺された跡のような《腫れ》は、そらに抱いていた清純無垢とはかけ離れた代物だ……。
「み…見なッ…ぎぎ…ッ……ダメ…ッ」
そらが受けた虐待の傷は、心だけではなく身体にも刻まれていた。
舐める″s為が動物にとって一番の愛情表現ではあるが、父親の皮を被った《淫獣》がそらに与えた其れは、異常なまでの執着をみせていた。
幼器の割れ目に潜んでいるベールのような包皮を捲り、指先の接触にすら傷んでしまいそうな敏感な幼豆を舌先で転がした。
何度も何度も舐め回し、それは幼豆が赤くなるまで続けられた。
そして赤らんで膨れてくると、ひょっとこ≠フように唇を尖らせて《そこ》を吸い上げた。
丹精込めて愛情を注がれた幼豆は、素直なまでの変化をみせた。
悪臭を放つ唾液に浸され、引き抜かれんばかりに吸引され続けて過剰に発育していった……。
いま男共が笑いながら好奇の眼差しを突き刺している膨らみは、数年もの間、弄ばれ続けた傷の塊≠ナある。
[虐待の被害者]という哀しすぎる過去を死ぬまで背負うしかない、玉置そらという薄幸の少女の身体に建てられた《碑》なのだ……。
『ヒヒッ!?ちょっとれいちゃん、お友達に
こんなの≠ったなんて知ってたあ?』
「ッ〜〜〜〜!!」
そらも麗世も、新たな胸の痛みに目を閉ざして口を噤み、首筋が強張るまでに顔を背けた。
麗世はそらの身体的な特徴を知らなかったし、そらが麗世に打ち明ける事もなかった。
大人の女性になる為にすくすくと発育し、日々変化していく十代の少女の身体。
多感な思春期の最中、誰しもが自分の身体にある種の違和感や悩みを抱えるものだ。
その些細な小さな悩みは、本来ならば取るに足らない事である。
しかし、そらの悩み≠ヘ「取るに足らない」の一言で済むものではなかった……。
「ひっう"ッ!?やめッ……んあッッ!!??」
数枚の舌と化した指先が裏筋を舐めると、その突起は微かにヒクンッと蠢いた。
これは異物ではない。
明らかにそらの身体の一部だ……。
「きゃふぅッ!?い…イ"ヤ"あ"ぁ"ぁ"ッッッ!!!」
そらの過去など知りようもない。
高橋は人差し指の爪を立て、哀悼の意すら表さずに好奇心のままに触れた。
その薄布を膨らませる悲劇の証をツ…ッと擦ると、そらは悲鳴をあげて力強く腰を引かせた。
そこが《敏感》であると、そらは自ら認めてしまっていた……。
『どうしたのぉ?今の声は可愛すぎるんじゃない?』
「や、やめてくださいッ!ひ…い"ッ!?カメラやめッッ…あ"ぐぅ"ぅ"ッッッ!!」