幼き被害者-12
『ちょっとカメラマンさん、そんなに群がっちゃダメダメえ。オトちゃんの大切なオマンコなんだから、もっと敬意を払わないとお』
『そんなレンズ近づけなくてもズームアップで撮れるでしょお?イッヒヒ!?いっぱい撮られてる撮られてるぅ!面白い形のオマンコ撮られてるぅ〜』
「ッッッッ」
人に見せられぬ身体を弄ばれ、更に人には見せられぬ姿を曝してしまったそらを、男共は束になって視姦と録画と嘲笑で責めた。
多感な思春期の少女が耐えられないのは、肉体的なモノではなく、精神的な責めにあるのはこれまでの経験から知っていたからだ。
『イヒヒッ!ねえ、コレって《おチンチン》なのぉ?普通の女の子のクリちゃんは、こんなに大きくないけどなあ〜』
『パンティの上からコリコリ爪立ててイジメる激しいオナニーしたんでしょ?それか理科の実験で使うスポイトでチューチュー吸って、ギューギュー引っ張る吸引オナニーしたんでしょお?ハッキリ言わなきゃまた調べて≠竄閧ワすよお?』
「ッ…!ッ…!ッ…!」
刃物と化した言葉の刃が、グサグサとそらの心に突き刺さる。
否定の言葉すら言えず、ただただ俯いて泣きじゃくり、惨い現実を振り払おうと首を左右に振るばかり……。
『パンティ穿いてても勃起≠オたのが丸分かりなんて、ホントにオトちゃんのコレは《デカクリ》だよねえ〜』
『コレって[性感帯]って言うんだよお?「あん!気持ちいいッ」ってなっちゃう《塊》なんだあ。コレがこんなにデカいってコトはオトちゃ……』
「ぅ"わ"〜〜〜〜ッッッ!!!ひぐッ!?ひう"ッ!あ"あ"ぁ"あ"ぁ"あ"ッッッ!!!」
他人とは違う人生を送ってきたそらは、他人とは明らかに違う身体に人知れず傷つき、悩み続けていた。
ここまで嘲られなければならないほどの違いではなく、個人差が少しだけ強く現れているだけなのに、それにそらが気づくきっかけは無かった。
あるはずが無かった……。
『イヒッ!?乳首みたいなクリちゃんしてえ……もしかしてクリちゃんみたいな乳首してるのかなあ?ねえ、ボクに見せ……』
「だッッダメ"〜〜〜〜〜ッッッ!!!ぬッ脱がッッ…脱がし…ッ……バカあッ!!やめてよバカあぁあぁぁあッッッ!!!」
『笑わないからさあ…?…もう絶対に笑わないからあ!フヒヒッ!?皆んなオトちゃんのオッパイに興味津々……フヒヒヒ!』
前から後ろから……痴漢師二人の指技に制服のボタンはあっという間に外され、ジャケットもYシャツも手首まで捲り上げられて麻縄で縛りつけられた。
悲鳴をあげ続けた顔面の紅潮が及んだ胸板は汗も眩しく、そして膨らみすら見せない真っ白なブラジャーが、虚しそうに胸を締めつけていた。
『なあにコレぇ?赤ちゃんの頃から全然発育してないんじゃないのお?』
『もうお姉さんなのにオッパイぺったんこなんだねえ?ホントは必要ないんだけど、クラスの皆んながブラジャー着けてるから自分も着けてるだけなんでしょお?』
「ぐ…ひふッ……や……やめて…ッ…もうやめて……」
屈辱の言葉が全て疑問として投げ掛けられるのが、悔しくて悔しくて、胸が張り裂けそうになる。
答えられないと知ってネチネチと責めてくる二人の変質者に、そらのか弱い自尊心がゴリゴリと削られていく。
『色は何色ぉ?イヒッ!?汚くって真っ黒なウンコの穴より綺麗なのお?イヒッ!ヒヒヒッ?』
「やめて…ッ……ズズッ…もうやめ…う"ぐッ…やめてください…ッ」
『大きさは?あの恥ずかし〜いデカクリより大きいの小さいのぉ?ヒヘヘヘ……ほらぁ、教えてよねえ〜』
正面に立つ高橋の人差し指がブラジャーの前土台を引っ掛けると、それだけでカップは胸板から離れた。
包む≠ニいう言葉が当て嵌まらない肉感皆無な胸に、可愛らしくも過剰な防着が着けられているだけだ。
「ひ…い"ッ!?み…見えちゃ…う"ッッッ!」
引っ掛けた人差し指を手前に引き、軽く上に持ち上げただけでそらの上半身は裸になった。
少年のような真っ平らな胸板。
乳房など探しようもない平板な少女の胸は、桜色の小さな乳輪を土台とした大豆ほど乳首が、ポコンと乗っかっていた。
「……う"ッ…はひッ!?…い"…ひい"ッッ!」
シューシューと煩い鼻息が再び迫ってくる。
汚されて傷つけられて《歪つ》に成育した身体を嘲笑いに、大嫌いな男共が群がってくる。
泣き顔は二の腕に挟まれたまま横を向き、せめてもの現実逃避として瞼が固く閉じられる。