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人妻奈岐
【熟女/人妻 官能小説】

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睦夫との邂逅―その1-2

 それからも二、三度とお互いの頬が触れあった。新庄はそれを気にしないふうをして話を続けた。奈岐は何か悪い予感が背中に走り、要件を済ませて早く帰社したいと思った。
 要件が済んだので、帰ろうとすると新庄が、
「Tさん、悪いが今晩、この件のクライアントとの会合があるんだが、付き合ってもらえんかね?もちろん費用が僕が持つので」
「申し訳ありません、これから会社に帰らなければならなくて」
「そうなのかい。困ったなあ〜、、、、、
あっ、じゃあ、僕から上司のAさんに電話でお願いしてみるからそれで良ければ付き合ってくれるかい?」
「あっ、、は、い」
「ちょっと待っててください、今電話してみるから」
 新庄はその場で電話を取って、奈岐の上司のAに電話した。何か、事情を話していたが向こうを向いていたのでよくわからないところがあった。ただ、どうやらAは承知したらしかった。

 しかたなく、奈岐は新庄に付き合うことにした。奈岐は新庄が嫌いなわけではなかったが、取引先であり何か問題が起きるといけないということが先にあった。新庄は年は五十を少し超えたころで、若い頃ラグビーをやっていたとのことでまだ十分に逞しかった。奈岐はそういう男が好きではあった。
車で会場に行く途中、新庄が、
「ぼくはね、家内を十年前に亡くしてやもめなんだ。だからといって君をだしに使って申し訳ないんだけど、今日の会合には君にいてもらいたくて」
と、君という言葉を使い出して親しみを込めているらしかった。
「君は、奈岐という名前だったねえ」
「ええ、そうです」
「すこし珍しい名前だ。でもぼくの若い頃の恋人の名前と同じなんだよ、だからなんとなく君のことが気になっていたんだ」
などと言いながら、親しくなりたいという気持ちが直に伝わってきたので、奈岐は慎重に話さなければと気持ちを引き締めた。ただ、そのせいでいつもの自然な調子の受け答えになりにくかった。
 
 会場に着くと、四人用の座敷個室が用意されていた。そこに新庄と二人で並んで座り、向かい側に座るクライアントを待つことにした。
 おしぼりが来て、新庄はよく年配の男性がするようにそれで顔を拭き出した。
「ああー、疲れた、、、
今日はクライアントと言っても気楽な間柄なのであまり気を使わなくてもいいんだ。
君も普段の疲れを癒してください」
「ありがとうございます」
 しばらく待ったがクライアントは現れなかった。すると、新庄のスマホが鳴った。慌てて出た新庄が、
「あっ、そうなの、やむを得ないな、わかりました。またにしましょう、いやいや構いません、そういうこともありますから、はい、はい、うん、わかりました」
 どうやらお断りの連絡らしかった。
「奈岐さん、先方が都合が悪くなったということなんだ。すまんね、、、、
でも、せっかく予約してあるから、食事だけでもしていかないかい?」
少しづつ口調がなれなれしくなっていくのに警戒していると、
「いやなに、用事があれば止めませんけど、せっかくだ、ここの料理はおいしくて、お酒もいいものが置いてあるんだよ、いいだろ?ね、頼むよ、頼む!」
と言って手を合わせられたのには断ることができなかった。
「はい、ではそうさせていただく、ということで」
奈岐は警戒をし過ぎて口調が滑らかでなくなってしまっていた。

料理が運ばれてきたのに、新庄は向かいの席には行かず隣の席のままで座っていた。お酒が来て、おちょこで乾杯をして食事を始めた。新庄は、
「そのつき出し、おいしいだろ?ここの名物なんだ。この日本酒にピッタリなんだよ」
とリラックスモードになっていた。
「君は、日本酒が好きだといっていただろ?だからここを選んだんだ。こんなにはやく君と差しで飲めるとは思わなかった、嬉しいよ」
と言うようになれなれしい口調ではあったが、新庄はもともと東京六大学の立教でラグビーをしていたということであり、服装のセンスも日頃の振る舞いもいたってセンスの良い方だった。その点はいつか浮気のようなことになった後輩の田中に似ていた。
 奈岐はこういうタイプに弱いのかもしれなかった。
 料理が引き続き、お刺身、天ぷら、煮物と次から次へと運ばれ、どれも贅を尽くした和の粋だったので、新庄につがれる日本酒をついつい飲み過ぎていったのはやむを得ないことだったかもしれない。
 いつしか、新庄が奈岐の手を握って来ていた。
「奈岐さん、君は結婚して何年になるんだい?、もうだいぶになるのかな?子供はいるのかい?君を奥さんに持つ人は羨ましいな、僕も若ければ君を奪いに行ったのになあ、、、」
と奈岐の顔を覗き込むようにした。


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