結婚生活-4
そしていつしか奈岐には男の精液を膣の中に勢いよく出してほしいという快楽、官能の欲求が芽生え始めていた。そして、胸に巣食い始めていた澱みが、奈岐に合理を追求する仕事の喜びとは逆説的に快楽への欲求を逞しくし始めていた。
最初は、コンビニで買った女性誌のセックス特集で情報を知ったのが始まりで性感帯のこと、おもちゃのこと、男の性癖に関することなどを家で一人でいるときなどはむさぼるように読み吸収するようになった。そうした日々を送るようになった二十九歳になったある秋の土曜の明け方、はじめて啓介以外の男に抱かれた夢を見た。夢でも啓介以外の男性に抱かれたことは無かったのだが、奈岐の意識がエロスに色濃く向かっている証左だったのだろう。
それは、会社組織では隣りの部の部長の堀だった。すべからく面倒見のいい部長で自分の組織以外の若い人のことにも良く気をくばってくれていた。最近会社で「元気でやってるね、最近課長から君の仕事ぶりが良くなってきたって聞いてるよ」とにこっと愛嬌のある表情で声掛けしてくれた堀だった。奈岐のタイプではなかったが、ロマンスグレーの良く整えた髪型に服装のセンスの抜群に良いさすがは商社の部長だというのが堀だった。夢にしては妙にはっきりしていて仔細までよく思い出すことができた。
その夜、広いフロアに残って仕事を続けていたのは、奈岐と堀の二人だった。堀がふらっと近寄って来て残業に集中している奈岐の後ろから突然肩に手をかけてきて、
「奈岐君、夜遅くまでご苦労様、もう11時だからそろそろ帰りなさい」
「いえ、もう少しなので、、、。終電までには帰ります」
と奈岐が言うと、
「そうか、でも切りのいいところでもう切り上げるんだよ。あと30分くらいで終えなさい。
もう電車で帰らせるわけにいかない、僕がタクシーで送ってあげよう」
と言うとなぜが、堀はいつの間にボタンを二つほど鮮やかに外し肩にかけた手をブラウスの中の胸元に滑らせてきた。とっさに奈岐は、
「部長、だめです、止めてください」
という奈岐の毅然とした制止も聞かず、堀はさらにブラの中の豊かな奈岐の乳房の上部に指を忍び込ませて乳首を人差し指と中指で摘まんだように奈岐は感じた、と思ったらその花芯の先端の小さい大地を人差し指の腹で擦りあげた。続けて擦られて、疲れもあった奈岐は思わず
「あーん、、、、」とほんの小さい静かな吐息がを漏らしてしまっていた。
「最近の君の身体からはこうしてほしいというサインが出ているんだ。素直に僕に従いなさい」
ともう片方の手も胸元から豊かで弾力に富んだ奈岐の左胸に忍び込ませブラの上から優しく揉み始めた。それはこれまで感じたことのない仕方で奈岐の乳房と乳首を刺激してきて、奈岐はまた静かな吐息を漏らし、
「あ〜〜、、、、、、、、、―――――ぶ、ちょ、う、、、、」
と言ってしまっていた。
「そうなんだね。
君が僕のことをこれまでも色っぽい目で見てきたことあったが、やっぱり僕のものになりたかったんだね」
と言い、しばらく両の手で胸を刺激してから、ブラウスの残りのボタンをはずしあっという間に脱がせた。椅子から奈岐を立たせて膝上までのビジネススカートのホックを外しファスナーを降ろしたと思ったらこれもあっという間に脱がせた。ブラを外し露わになった奈岐のEカップの張りのある豊かな白い乳房を堀の唇が愛撫していく。五十二歳になる堀の年相応の丁寧さで乳房のまわりから徐々に乳輪に近付き、舌で乳輪の乳首のまわりをなぞりながら、片方の手は徐々にストッキングを脱がしにかかっていた。