反撃-3
その箱は、上空へあがり母家の屋根の真ん中位に移動して行くと光を放つ。母家をドーム状に包む様に透明な光の膜が覆う。恵が頷くと透明な膜は消え続いて箱も消えた。正輝は、
「家に何かしたの?」
と聞くと恵は、
「家を守る為のシールドユニットを設置したの。」
「攻撃を受けそうな時に自動でシールドを張るわ。」
「ユニットはステルスモードで見えないけど。」
と答える。そして納屋を方を向くと正輝を見て、
「少し、下がって。」
と声を掛ける。正輝が後ずさりすると恵の前に白く発光した長さ2m位の楕円形の物体が突然現れた。浮いていて、納屋に入っていく。正輝は驚きつつも、
「中に誰か乗っているの?」
と聞いた。人一人入る様な大きさに思えたからだ。恵は、
「いいえ、今は誰も乗っていない。」
「これは任務用のシャトルよ。」
と言い、シャトルが浮いている下の方を指差すと、
「地下の収納ユニットにシャトルを大きくした様な形状のシップが有るわ。」
「その内、あなたに見せる。」
と話した。地下の収納ユニットはそれ自体が攻撃に対して強固な作りでシールド機能も備えていた。シャトルも自動でシールドを張れる機能を持つ。恵は、
「取り敢えず、今やるべき事はやったわ。」
「家の中に入りましょう。」
と正輝に微笑む。正輝も浮いてるシャトルを呆然と見つめたまま、
「うん…」
と生返事をしているとシャトルが消えた。
(見えなくなった!)
(ステルスモードってやつか。)
と再び驚いていて恵を振り返ると玄関から家の中に入ろうとしていた。正輝は慌ててその後を追う。恵はアルゥ達を吹き飛ばして壊した壁の後片付けを始めていて、入って来た正輝を見て、
「先に片付けと掃除をしましょう。」
「終わったらシャワーを浴びて食事を。」
「食事の時に説明するわ、全て。」
と話した。正輝は頷くと壁の飛び散った木片を片付け始めた。壁は思った以上に大きな穴が空いていた。恵が、
「浴室の扉の修理の時に一緒に直して貰おうかな?」
と呟くのを正輝は聞いて、
(普通に大工さんとかに頼むのかな?)
(あのブレスレットで直せないんだ…)
と少し可笑しい気持ちになる。テーブルとその周りの掃除に移った時、
「母さん、後は僕がやるよ。」
「先にシャワー浴びて。」
と正輝が話し掛ける。恵は正輝を見て、
「ありがとう、そうさせて貰うわ。」
「シャワーが終わったら食事の用意をするわ。」
と微笑んで頷く。正輝はテーブルの体液などをウエスで拭き取り、周りの床をモップを掛けていった。終わると自分の部屋から消臭スプレーを持って来て何度か噴射する。
(結構、汚れていたな。)
と苦笑いする。あの狂った様なセックスを少し思い出して、
(母さんもあの事には触れないな。)
(他に話すべき事もあるし、話題にしない方が良いな。)
と自然と頬が赤らむ。ウエスを袋に入れてゴミ箱に捨て、モップを裏口の蛇口の所でバケツに入れ洗剤で念入りに洗うと立てかけた。訪問者達が入れられた白い収納庫の方に目を向けたが何も物音などは聞こえて来ない。
恵がシャワーが終わった事を正輝に知らせる。正輝は自分の部屋に着替えを取りに行くとすぐに浴室に向かった。恵は、台所でサンドイッチを作っていた。正輝はドキドキしながらシャワーを浴びていた。
聞きたい事は山ほどあるが、聞くのが怖い気がして来たのだ。先程まで母親とセックスしたと言うとんでもない行為の事をどう受け止めて良いのか頭を巡らしていたが、それを凌駕する様な事実を恵から知らされる気がして来た。
あの男達をいとも容易く倒した事や彼らの武器を跡形無く消し去ったブレスレット。家を守る為に設置した白い箱に、浮かんでいた小型の宇宙船らしきシャトル。全てが夢かと思う様な物を見て混乱して来た。
(何て週末なんだ!)
(滅多に来ない客が来たと思ったら襲って来たし、母親との激しいエッチを見せられた。)
(挙げ句の果ては、自分が母親とエッチする何て!)
と先程までの見た事や自ら行った事を思い出し、自然と性器が頭をもたげ立ってきた。正輝は自らを叱り付けるも治らないのでオナニーして鎮める事にした。母親と真面目な話をするのに勃起したままだと恥ずかいし、恵に軽蔑されたく無かったのだ。
シャワーを終え着替えて台所近くの食事用テーブルに行くと恵が、
「座って、待ってて。」
と笑う。正輝も笑顔で頷き椅子に座った。恵は正輝の前にサンドイッチの載った皿とチキンスープの入った皿を置いた。恵は、正輝と向かい合った椅子の前に同じ物を置くと椅子に座る。恵が、
「じゃあ、頂きましょう。」
といつもの食事の始まりの言葉を口にして食事が始まる。2人とも食事を食べ始めると凄く空腹だった事に気付き、お互い黙って食事を摂った。食べ終わる頃、恵がオレンジジュースの入ったコップを、正輝と自分の分をテーブルに置く。そしておもむろに、
「そろそろ、話をしましょう。」
「何から聞きたいの?」
と正輝を見て話す。