ゲット・バージン-8
(ああ、このまま一日中こうしていたい…)
あまりに心地よい雰囲気にまったりする彰だが、ふと思い出してしまった。
「か、会社行かなきゃ、ね…」
萌香もハッとした様子を見せた。
「そ、そうだった…、今日、休みじゃなかったです…」
彰はいつもギリギリまで寝ている。朝起きてから10分出かけるのが習慣な為、9時出社だが、目覚ましは8時にセットしている。それから抱き合いキスしてイチャイチャしていて10分が過ぎていた。
「あ…、や、ヤバいです!もうこんな時間…」
普通に考えて、もうシャワーもメイクも直している時間はなかった。
「どうしよう…。今日はホームページ更新して初めての日、私達、休む訳なはいかないし…。このまま服着て行くしかないですね…」
「そ、そうだね…。でも少し遅れて行っても…」
「ダメです、時間は守らないと。」
「た、だね。」
真面目な萌香が可愛らしい。萌香はすっと起き上がり、痛む下半身を我慢しながら着衣する。彰も慌ただしく着替えた。
(やっぱたまんないわ、この服)
萌香の服を見て思わずニヤけてしまう。メイクはもともとそんなに手をかけていないので問題なさそうだ。髪だけ直して出かける準備が出来た。
「じゃ、急ぎましょう!」
「う、うん。」
遅刻は絶対ダメと言わんばりの正義感溢れる姿で彰の手を引きアパートを出る。だが少し歩いた瞬間、動きが止まる。
「痛っ…」
やはり股間が痛む。
「だ、大丈夫…?」
心配する彰。
「は、はい…、大丈夫です!」
気を取り直して歩き出す萌香。彼氏と2人で出社する朝は、今までとは世界が違うような気がした。
駅に着き電車に乗る2人。
「ハァハァ、この電車に乗れば遅刻しなくてすむから大丈夫だよ。」
「良かったー♪」
息を切らしながら安心して笑顔を見せる萌香。彰は落ち着くと、乗客の何人かの男性が萌香をチラチラ見ている事に気づく。グッと来る服装をしたアイドルばりに可愛い女を見てしまうのは男の性だ。だが彰は思う。
(この超可愛い女は俺の彼女だ!誰にも渡さないぞ!!)
そう思いながら男達を睨みつける。
「楽しみですね、今日。反響が♪」
「だね!」
2人は電車を降りて駅を出て会社に向かうのであった。