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月の裏側
【調教 官能小説】

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回想-4

それから数日が経った。
柳さんからは何度も連絡が来ていた。
でも、美月は居留守を使っていた。

いやだった訳ではなかった。
痛いことやひどいことをされた訳でもなかった。
スタンダードなのかどうかわからないけれど、
SMと呼ばれる世界の一部なんだろうとは思った。

何より、美月は、ものすごく感じたのだった。
洋服も自分で脱ぎ、直接触られてもいない。
挿入もされていない。
それなのに、あり得ないくらい感じ、一人で何度も絶頂を
迎えた。放置されながらだ。

付き合ってはいけないと思った。
まだ、20歳だ。
普通の恋愛がしたい。普通のセックスをし、将来は結婚して子供も
産みたい。
恋愛や結婚に夢を抱いている年頃だ。ごく当たり前である。

決心した美月は、柳さんと電話で話した。
そのままの気持ちを伝えた。
柳さんは言った。
「気持ちはわかる。ただ、嗜好というのはどうにもならない。
仮に、美月が誰かと付き合ったり結婚しても、嗜好が合わなければ、
一生探すだろう。嗜好が合う相手をね。僕がそうしているように。」と。
柳さんとは二度と会うことはなかった。

しかし、この言葉は、それから何十年も美月を苦しめた。
そう、柳さんは、長い間、美月の中に君臨し続けたからだ。
インナーマスターとして。


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