自慰-1
オナニー、自慰、どんな言い方をしても恥ずかしい。なぜならそれは秘め事だからだ。
ほとんどの人がする行為なのに、皆、そんなことはしていませんという態度で生活をしているわけだ。美月も会社では、自慰?そんなことするはずないでしょ。という雰囲気を出している。
しかし、自らの指で自慰を行うことはもちろんあった。特に祐に抱かれてからは、頻度が増えていた。
ある夜、祐と話していると自慰の話になった。美月は、自慰についてだいぶ前に読んだ小説を思い出して、祐に話した。その小説は、D/sでありながら、SMの要素も強い内容だった。ある時、ドミナントである男性が、サブミッシブにしたい女性にいう。
自分の前以外で感じるのは許せない、たとえ、自慰だとしても。と。
すると祐が言った。
「それ分かるな。そうしよう。」と。
美月は、一瞬わからなかった。そしてこの時は、ただの軽口だろうとも思った。祐を甘く見ていた。
しかし、実際に、美月は自慰を禁止された。
この夜から、自分がいきたいときに自分の指や玩具で感じ、いくことは許されなくなった。
祐が美月を管理しはじめたことは、美月にとってこの上なく幸せなことだった。
自らの身体を管理されること、それは美月の心の奥深くにある願いであったからだ。