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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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品定め-1

 朝のワイドショーで、ラブホテルで首のない男性が見つかったという猟奇的な事件を扱っているのを眺めている。連れの客は行方が分からず男性か女性かも分からないという。こんな事件に巻き込まれたらたまらない…と思わずにはいられない。だから、出会い系で男と初めて逢うときはかなり緊張もしている。

 もちろん、何往復かのメールのやり取りを経て、メールの文章の雰囲気から、相手の雰囲気、風貌などを想像しながら、「おかしな人」ではないという感触を得た上で、逢うと決めてもいるから、今まで身の危険を感じるような男に遭遇したことはない。

 事前に写真の交換などもしていればより安心なのだろうが、そこまではこちらも対応できないし、写真と実物にギャップがあることはわが身に照らして人様のことをとやかく言えるものでもない。

 だから、当日はお互いのだいたいの特徴とか目印を伝え合って、それを頼りにお互いそれらしい人物を探しながら検討をつけて、おそるおそるどちらかから声をかけて…というのがなれそめになる。待ち合わせの場所に向かう。午前中だというのに太陽の日差しがぎらぎらとまぶしい。

 男が言っていた『改札を抜けたところにあるドラッグストア』はすぐに見つかった。買い物でもしに来たような感じでいると、背後から声がかかる。

 「あの…葵さん…ですか?」
 「あ…〇〇さん…ですか?」
 「どうも、はじめまして」
 「はじめまして。こちらこそ、よろしくお願いします」

 今日も勝手に描いていたイメージとは、年恰好こそ合ってはいたけれど、体型やら髪型やらはかなり離れた感じの男だった。とは言え、物腰や顔つきなどからは逃げ出さなければならないような人ではない。まずはそのことに安堵する。

 むしろ、メールでの自己紹介を思い出せば、まさにこのような風体の男であったはず。こちらの勝手な妄想が気恥ずかしい。向こうにしてもきっと同じようなことを思っていることだろう。そんな思いが交錯する一瞬。

 「素敵な方でよかった。思っていたとおりの…」

 少なくとも社交辞令だし、想像とは違う女が現れたことへの自分への慰めだと思って聞いてはいるが、もし本当にそうだというのならば嬉しい…。

 「お茶でも飲みますか?」

 『じゃあ、すぐにホテルへ』とは言って来ない。そこは回り道のようでも一応の大人のたしなみを弁えているということで好印象だ。こちらも夜遅くまで時間があるわけでもないけれど、『そんなこと抜きにして、すぐにホテルに直行しましょうよ』と言えるものでもない。

 「そうですね…。お任せしますわ…」
 「ふむ…。いかがいたしましょうかね…」

 ちょっと思案する様子。どうせ行き着くところがホテルでよし、という暗黙の合意ができたのだから、わざわざ喫茶店などへ行って時間を費やす必要はない。こちらから助け船…というか背中を押す一言。

 「…今日はちょっと暑いですね」

 ここで『じゃあ、冷たい飲み物でも』となっては元も子もないのだが、今日の男は察しがよかったようだ。

 「じゃあ、とりあえず涼しいところに行きましょうか」
 「はい」

 暑さを避けて涼しいところへ…という大義名分のもと、足取りも軽くホテル街に向かうことになる。

 「この辺でよろしいですかね?」
 「はい」

 部屋に入って冷蔵庫の中を見れば缶ビールが入っている。

 「乾杯しましょうか、今日の出逢いに」
 「はい」

 蓋を開けた缶をお互い軽く掲げて一口、二口…。

 「確かに今日は蒸し暑い。ビールが美味いなあ」
 「そうですね」
 「いける口なんですか」
 「いえ、そんな」

 定型文のようなやり取りではあるけれど、定型文のやり取りができることでお互いの距離が縮まっていく手ごたえを感じ合う儀礼のようなものだろうと思う。

 「シャワー浴びますか? どうぞお先に」

 レディーファーストということなのだろうが、あえて警戒するならば、シャワーを浴びている隙にバッグの中を物色されたりしては困る。こちらにしても、相手の所持品からナイフなど出てきたら困る。冷房が効きすぎて寒いくらいの部屋だけど、ここに来るまでにはいくらか汗もかいてしまってはいる。

 「一緒に浴びちゃいません?」

 女としては思いきりが要るようなセリフだけど、男からは言い出しにくいようなことをこちらから申し出れば、さらに距離は縮まることになる。実際、たいして時間も経たないうちにお互い裸になってしまうのだから、シャワーを共にしたってどうということはない。男にしてみれば、こちらが少なくとも自分に嫌悪感は持っていないということがわかって安心するのか、嬉しそうな表情を浮かべることが多い。一度『こういうのに慣れていらっしゃるんですね?』と言われてしまったことはあったけれど…。

 シャワーを浴びながら…というか、シャワーを浴びる体で、石鹸の泡まみれではあるけれどお互いの全裸の姿を目で確かめ、掌で確かめ…というステージに進む。男がおそるおそる…といった感じにこちらの乳房や尻を撫でまわしてくる。こちらとしては、男のシンボルがしっかり漲っていることに安心しながら、だいたいはシャワールームでキスくらいはすることになる。そのまま事に至ることもあれば、キスまでにとどめてあとはベッドに移動して…というときもある。

 数時間が経ってホテルを後にする。今日の相手は別れ際に『また、是非逢いましょう』と言っていた。こちらとしても特に不満はないひとときを過ごさせてもらった。男は時間の融通は自由にできるようで『いつでも気が向いたときに』とも言ってくれていた。電車に乗って股間に男との余韻…というか、端的に言えば異物感を感じながら、おかしな相手に遭遇しなかったことに感謝して故郷の八幡さまに心の中で手を合わせる。


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