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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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錆落とし-1

 割りと頻繁に逢っている男との密会。『松葉くずし』の形で合体して、ひとしきり男が腰を振っている。射精に至るための腰の振りではなく、特に切迫感もないが、いつもと違うところが抉られるのは、何だか管の中にこびりついている錆や汚れを落とされているようで、それなりに気持ちもよい。

 男が両手に抱えていたわたしの片脚を解放したから、わたしは上体を起こして両手を身体の後ろに伸ばす。男も同じような姿勢をとって、お互い腰の角度をずらしながらつながったっまでいる。

 「ちょっと休憩しましょうか」
 「はい」

 二人でつながったまま、ハイキングの途中に草原の上で、脚を投げ出して休憩でもしているようだ。恥ずかしいと言えばこの上なく恥ずかしい姿勢のはずだが、何度となく逢っていると羞恥心も麻痺してしまうようだ。

 男は器用に上体を捻ると、ベッド最後からリモコンを手に取り、BGMがわりに流しっ放しにしていたアダルトビデオの音声を下げる。やや長くできている男の肉棒は、わたしの穴から抜け出てしまうことはない。

 男は萎える様子もないまま、コップから水を飲んだり、タバコをふかしたりしている。わたしは、両手を後ろについて、乳房を隠しもせず、大股を開いたまま、股の中心に男の勃起を挿入されている。そんな破廉恥な姿勢でいるその割には、退廃的な雰囲気が漂っているわけでもなく、ただただ、ハイキングを楽しむ中高年の男女が、途中で休憩しながら景色でも愛でているような、のどかな雰囲気なのである。

 「奥さんはお家の方はどうですか? 特に変わったこともなく?」
 「ええ。そうですね。おかげさまで」
 「それはよかったですね」
 「お宅も?」
 「ええ」

 お互いこのような痴戯に耽っていられるのも、妻や夫と破綻せずに家庭を維持しているから…ということをこの男とは以前から共通の思いとして共有している。そんなこともあってか、密会して身体を重ねていても、退廃的な背徳感とか肉体的な快楽の追求とかにのめり込むこともない。

 妻や夫以外の男女であっても、世間でまあまあ許容されているであろう、カルチャースクールとか公民館のサークル活動とかを一緒にしているような雰囲気で愉しんでいるだけ…みたいな暗黙の了解があるように思う。

 「初めてお逢いしたのもこんな梅雨時でしたね」

 男がわたしに水を注いだコップを渡しながら呟く。

 「そうですね。もう一年経つんですね」

 水を飲みながら(ますますハイキングの途中に休憩しているみたい…)などと思う。

 「はやいものです。あのときはここに入って、延長コールしようと思ったあたりで、ふとカーテンの隙間から外を見たら雨が随分強くなってきて」
 「電車が止まったらまずい…って」
 「本当はもっと一緒にいたかったけど、『よかったら、一週間後、改めてどうですか…』なんてお誘いしながらお別れして」

 そんなお互いの用心深い性格がよかったのか、相性の良さを感じつつも思いを残して別れたのがよかったのか、一週間後の再会で相性が悪くないことを改めて確認してからは、二、三週間に一度くらいのペースで密会を重ねている。

 「ホテルで逢うだけなのに週間の天気予報なんかが気になったりしましてね」
 「わたしもですよ。でも、梅雨時は嫌いじゃないのですけどね…」
 「『傘が差せて顔も隠せますから…』でしょ?」
 「やだわ…もう何度もお話してますね。最近、そんなことばっかりで…」
 「ははは。いいじゃありませんか。どうせ頭も身体もガタが来るんですから。ガタが来る前に、しっかり愉しんでおきましょう」

 こんな話ばかりしている割には、男は硬さを保ったままでいるが、ただ、目の前で女が大股を開いて自分の一物を挿し込まれている様子…という視覚的な情報だけでは足りないようで、ぬるくなったお風呂に湯を足すように、それなりの話題に振ってくることもある。

 「ボクの顔は忘れても奥さんのアソコがボクのコレを覚えてくれていれば十分です…」

 (顔もコレも覚えていられる自信はさほどないけれど…)

 「奥さん、最近、どうですか? ご主人とはセックスなさってますか? ボクはね、この前お逢いしてからは今日まで何もナシです」
 「わたしもです。相変わらずで…」
 「本当ですか!?」

 相手をしている亭主持ちの女が、自分以外の男とセックスしていないという告白がいくらか意味のある情報だったのか、男の硬さが増す。男は取り戻した硬さを維持しようとするかのように腰を動かせる。動きとともに、わたしの膣口が歪められるようで『ぶぽ、ぶぽ…』と聞くに堪えない音を立てる。

 (んもう…変な音、たてて…)

 自分の性器に文句を言いたくなるが、性器が立てるはしたない音をあえて翻訳したら(夫とセックスしてないのは本当だけど、アンタ以外の男のチンポは一昨日咥え込んだばかりよ。しかも部屋こそ別だけどこのホテルでね…)とでも告発しているようにも思えてしまう…。

 わたしはこれ以上音を立てられないように、膣から男根を抜き去り、そのかわりに…と、四つん這いになってバックからの挿入を促す。

 「お気になさることないのに…いい音色ですよ」

 後ろから挿入してきた男が上体を倒してわたしの耳元でささやく。わたしの性器は下卑た空気音を発するのは止めてくれたようだ。

 (一昨日はあのような音は出なかったのですけど…直径の関係でしょうか…)

 そんなことを思っていると、わたしが羞恥心から黙っていると思ったようだ。

 「いいんですよ、恥ずかしがらないで」

 そう言って、腰を激しく振り始める。さっきまでとは違う角度での激しい動きが心地よい。

 (まあ、いいっか…。そのまま錆落としの仕上げをよろしく…)

 枕を抱きながらお尻を突き出している。


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