愛する女の為に-14
そんな彰を少し離れたところから見つめる萌香。そんな萌香に由香里が言った。
「あなたの為にあんなに真剣になって…。彼、純粋なのかも知れませんね。」
「はい、仕事も真面目で、今日みたいにみんなに絶賛されるような企画も考えついちゃう、素晴らしい先輩です。」
「そうなんですね。ンフ、もしあれが彼氏だっらたら嬉しいですね。あなたの為に、あなたに似合うネックレスをあんなに真剣になって探してくれるなんて。」
「彼氏とか…じゃないけど、でも確かに私の為にあんなに真剣になってくれるなんて、人間として嬉しいです。」
由香里は意味あり気にニヤッと笑う。
「本当にただの人間としてしか彼を見てないんですか?」
「えっ…?そ、そうです…。」
「ふーん♪まぁ…、いえ、何でもありませんよ♪」
「…」
何か変な事を言われて顔が熱ってしまう萌香だった。
しばらくあれこれ探したが、彰が選んだのは最初に見たリース型のネックレスだった。
「萌香ちゃん、これに決めたよ!」
何の迷いもない自信満々の表情でそう言った。
「はい♪」
萌香も実はそれが一番気に入ったものであった。彰が会計に向かうと、萌香も後をついて行った。
「ではお会計、7万8千円になります。」
金額を聞いて萌香は焦る。
「な、7万…!?や、やっぱもっと安いのに…」
だが彰は引かない。
「じゃあカードで!」
「はい、ありがとうございます♪」
焦る萌香を尻目に会計を進めてしまう彰。
「か、彼女でもない私なんかにそんな高いの…」
「いいんです!この企画のフィナーレです。この服にあのネックレスをつけて、みんなにまた拍手をもらえたら僕は満足ですから。2人の企画、大成功にさせましょう!」
「で、でも…」
やはり申し訳なかった。だが企画は成功させたい。萌香は取り敢えず買ってもらい、後でお金を返そう、そう思った。
2人は事務所に戻り控え室に入る。そして彰が萌香にそのネックレスをかけた。
「うわっ…、最高…!」
彰は感動した。萌香も鏡を見て自分にウットリする。
「ネックレス一つでこんなに変わるんですね…。それに井上さんが私を思って一生懸命選んでくれた気持ちが詰まってると思うと、眩しいぐらいに輝いて見えます…。」
萌香は人生で一番かも知れない感動を覚えた。
「じゃあ先に行ってますね!みんなウットリしますよ!?」
「はい♪」
彰は先に戻って行った。