ロスト・マイ-3
ガマガエルが動きました。舌を抜いて、反転してきたのです。
あたしのエッチな所に腰が当たります。≪まさか、ヌタウナギが入ってきたらどうしよう≫ 考えてしまいます。
すると、そうなりました。
≪だめだって≫ヌタウナギが股に当たります。
長い体を押し付けてきて、奥へ入って来ようとします。
≪まさか、こんなやつにやられちゃうの≫ 考えただけで、ヌルリとヌタウナギが入り込んでしまいました。
「痛い」何かが小さく裂けます。
目の前で何十枚もの薄布が破れ落ちていきます、痛くて、それでもくすぐったくて仕方ありません。
ウナギの粘液がぬめって、それ以上の痛みを消してくれていました。
≪あたし、あたしの初めてを、こんなウナギにやられちゃった≫
ウナギは出入りを繰り返します。
ヌルリ、ヌルリと太い胴を入れてくるごとに、≪やられちゃった。やられちゃった。やられちゃった。やられちゃった‥≫
こんな事、人に言えません。「あたしの最初の彼って、ウナギなの」 ‥やっぱり言えません。
ちょっと待って、ウナギの反対側はガマガエルで、ガマガエルはタイトで、タイトはあたしを抱いて、体中をなめまわしながら、腰をゆすってウナギを挿入しているのです。 そのうなぎの反対側が、ガマガエルなのです。
「なにこれ」思わず大笑いしてしまいました。
≪ウナギじゃなかった≫ 笑う他には考えられませんでした。
「やめて、カエルさん」腰を引きます。
出てきたヌタウナギがいっぱいの粘液を吐き出しました。下腹部から胸にまで飛んできます。
「やぁん、気持ち悪い」離れようとします。あたしが吐いたのより最悪です。
足でけろうとしても、また中に入ってきます。突き入れ、やめようとしません。
このしつこさはまるで‥ 「やめてよ、タイト」
「あれ、見られちまった」ガマガエルがにらみます。
「代われよ」だれかがしゃべっています。
後ろにいたのは大きなカマキリでした。
カマであたしの首を押さえると、覆いかぶさってきます。
ネオン管が次々に破裂して、その音が色になって飛び散ります。
光の点だと思っていた虫たちが行進を始めました。
あたしの体に這い上って、くすぐり始めます。
ネオン色の背景が押し寄せてきます。
どこからか響くドラムの音に合わせて、あたしはカマキリの腹から出て来た、黒くて太い棒を突き入れられていました。
「やだ、やだよう」
タン タン タン 下腹部があたしのおしりをたたく音でした。
リズムに合わせて入ってきます。
タン タン タン タン タン タン タン タン タン‥ ―――――
そこで意識が戻りました。
「ひどい」体がふるえています。
「もう大丈夫」夢の中のおばさんは強い力で、ギュウウッと、だきしめてくれました。
「あたし、されちゃった」
「いいえ。これは、そうだったかもしれないという夢です」
「あたし、あんなやつにやられたくなんかない」
「肉体は精神を支配しようとします。あなたの思いも、思い出も暴力的に捻じ曲げられてしまいます。
薬物には注意するんですよ、それは肉体の支配を大きく助けるのです」
「心ってそんなに弱いの」
「今見たでしょう。でも完全には変えられません。はっきり見極めれば、どこかに『本当』は残っているのですよ。
それに今は大丈夫。これはすべて夢ですからね。怖かったわね」