俺のM女調教日記(37)-1
俺はあれからもホテルで清楚で美しい女、
一流企業の部長夫人の寿美恵を呼びつけて調教していた。
もう少し、この女のことを言っておきたい。
いろいろな女を相手にしてきたが、俺はこの女を気に入っていた。
今までに付き合った女の中でも美しい女はいた。
だが、寿美恵という女はそういう女とはどこかが違っていた。
美しいが疑うことを知らない素直で純真な女だ。
M女にはそういう女は少なくない。
そういう女は純粋だからこそ、
一度SMという摩訶不思議な世界を知ってしまうと
純粋ゆえに、従わされる男にはとことん付いてくる。
たとえ、名誉や財産まで投げ打ってくる勇気さえも持っている。
俺が愛奴にした寿美恵もそんな女だった。
そのように身を崩した女達を俺は知っている。
親から勘当され、それでもM女として生きている女もこの世界にはいる。
それほどにSMという世界は、妖しくも美しい世界だと俺は思っている。
そこはいつもの場所で高級ホテルだった。
なぜならば、そこを予約したのが寿美恵だからだ。
自分が予約をすると言うので任せておいた。
始めの頃は、そこで俺は調教をすると言ったが、
調教というその意味をあまり理解していなかったのだろう。
なにしろお嬢様育ちとなれば、SMホテルやラブホテル等の利用はしない。
当然、縛られたり、叩かれたりされたこともない。
そんな俺に興味を持ったのは、寿美恵の友達の影響だった。
しかし、その寿美恵にもそういう性癖があることに
自分自身が気がつかなかっただけであり、その火をつけたのが俺という男だ。
寿美恵の友人とは、かつて俺の愛奴だった女であり、
その女と寿美恵は以前に映画を観たことがあったという。
映画はフランス映画で、小説が元になっている。
俺はその原本を読んだが、映画化されて、リアリティ溢れる官能的な映画だった。
主人公は美しいコリンヌ・クレリーという美しい女である。
それは「O嬢の物語」と言った。
寿美恵はそれを見て、SMの世界を官能的で美しいと認識したらしい。
そういう世界があることに衝撃を受けたと言う。
その頃の寿美恵はその程度の知識だったが、現実的には俺の愛奴となっている。
縁とは不思議なモノだと俺は思う。
しかし、SMとは現実的には寿美恵の思い描く美しい世界とは言いがたい。
そこには愛欲と性欲、そして加虐と被虐の悦びが広がっているからだ。