ステージデビュー-7
「どう、落ち着いた?」
志織の表情は先ほどの痴女っぷりは微塵も感じられず、穏やかな表情をしていた。
「はい、でも信じられません。私、あんな人前で・・あんなに」
自分でも信じられない。思い出すだけで顔から火が噴き出るほど恥ずかしかった。なんせ大勢の前で全裸になり、横にいる同性に大事な部分を舐められ、あまつさえ絶頂を迎えたのである。
「ふふ、最初にしては上出来よ。あなたならもっと淫らに、エッチになれるわ」
「エッチにって、そんな・・」
「恥ずかしがる事じゃないわ。性欲は三代欲求に数えられるくらい大事なものだもの。女はね、気持ちいいことをしていけば綺麗になっていくの。イケばイクほど女性フェロモンが出て魅力的になっていくわけね。実際ステージの時の鈴香、とても魅力的だったわ」
志織が鈴香の頬を撫で上げる。そのまま後頭部まで手を伸ばすと、鈴香の頭をソッと自分に近づけ唇を重ねた。あまりにも優雅でロマンティックな流れに鈴香は抵抗することもなくアッサリと受け入れた。
「私ね、男も女も両方イケるの。今までに数え切れないほど体を重ねてきたわ。その中でも特に鈴香は私のタイプなのよね。可愛いしスタイルもいいし、何よりも真面目だけどエッチに関しては貪欲なところがものすごく好き。・・・ねぇ、私と付き合わない?」
いきなりの告白に驚き思わず顔を離す鈴香。
「ななな、な、き、急に何を言いだすんですか?」
慌てふためく鈴香。人生初の告白がまさかの同性である。が、慌てふためく鈴香を見て志織は急に悪戯っ子みたいな目を細めた笑顔を見せると
「ふふ、冗談よ。本当にからかいがいがある子ね」
ソファから立ち上がりバスローブを脱ぐと、そばに置いてあった下着を身につけていった。どうやら帰り支度らしい。鈴香も着替えようと立ち上がった時、ふと先ほどのフロアでの騒動が頭をよぎった。
「夜雲さん」
まだ全裸で戯れ合っているフランと美姫を宥める夜雲に声をかけた。
「さっきの男の子、結局どうなったんですか?」
「あぁ、あの子。それが面倒なのよね。あの子は今日初めて来たお客様で、本当は常連のお父様と来店する予定だったんだけど急用が出来てあの子1人で来ちゃったのよ。で、初めて見る光景にすっかり興奮して飛び出しちゃったらしいわ。演出中はカーテンから出ては行けないルールだったのに」
本来は会員権没収かつ永久出禁らしいが、初犯で本人も泣きながら謝っていること、さらにその父親が上客ということもあって、特別に数週間の出禁で済ませるらしい。
とりあえず大事にはならない様でホッとする鈴香。そこへ身支度を整えた志織がニンマリと妖しい笑みを浮かべながら近づいてきた。手には複数の色の下着と卵形の小さいおもちゃが握られている。
「鈴香。私の調教はまだ終わってないわよ。次はこれをしてもらおうかしら」
志織の変態調教はまだ始まったばかりであった。