何かが来る-8
バスのひと揺れでマイのつま先が滑り、イチモツの上へ落ちてきた。突き刺さりそうになる。が、マイのものはそれを許さないくらい強固なものだった。
入りやすくなるように、もうしばらく指で中をこすってやることにした。
腹に片手を回して支えてやる。その手に爪を立ててきた。
≪ほら、力を抜けと言ってるだろ≫
指を細くして奥深くすべりこませた。
「キャン」また叫ぶ、そして周りを見回して、口をふさいだ。
ゆっくりもみほぐしてやる。
問題なのは、狭すぎて、ふつうの大きさのものが入るだけでも、ここを傷つけるしかないことだ。俺は入りたかったが、マイを傷つけたくもなかった。この子の血など見たくはない。
逃げるマイは、つり革を引っ張り、宙に浮きそうだ。
指をぬいて、入れてを繰り返す。
「さあ、やわらかく受け入れておくれ」 ―――
後ろを見たくてしょうがありません。それでも怖くてふりむけませんでした。
≪あたし、入れられてるよう≫ 逃げようにも、つり革にぶら下がる腕の力は限界です。
耳元に息がかかり、かすかにうなるような声がします。その都度あたしの中に、ヌルッとしたものが入ってきました。
≪助けて、助けて、だれか助けて。あたしやられちゃってる≫
さっきまではバスの揺れに合わせていました、でも今は関係なくおそってきます。
あたしは必死につり革にしがみついていました。
バスが急ブレーキ気味に止まりました。勢いで体が前方に放り出されます。
「降ります」なんとか、枯れた声が出せました。
降り際に後ろを振り返ります。乗客はいます。が、そんな混雑はありません。立っているのは、むこう向きの、日傘を持ったおばあさんくらいでした。
≪違う、傘なんかじゃない。 だれ、だれがいたの≫
家へ着くと、ベッドに倒れ込んで、天井をながめました。下腹にはまだ挿入された感覚が残っていました。
≪私ってもう、処女じゃないんだ‥≫
痴漢野郎がいた方がまだ気は休まったと思います。そしたら文句を言うことだって、警察に突き出すことだってできます。
そして、やられたんだと、はっきりわかります。≪あっ、それはやだな≫
でも、その相手がいないのではどうしようもありませんでした。
≪まてよ、相手がいないんだったら、どうやってロストヴァージンできるっていうの≫ それが正解なような気がしました。≪全部思い違いなんだ≫
「違う、もう俺のものなんだよ」窓から入ってきた風がしゃべります。そしてうなじに吹きかかってきました。
あたしは身震いをします。
≪いったい何を聞いてるんだろう≫ あたしはおかしくなったのかもしれません。
好きなロックを聞いてごまかし、ご飯をひとりで食べると、そのままベッドの上に倒れ込みます。今日は両親とも遅いということでした。
服を脱いで、ブラをはずすと、洗いざらしのTシャツに着替えます。