恋売り。〜愛の行方〜-4
「ここがいい!!」
昔、本で読んだことがある。女の子が道迷って座りこんでると、男の子が見つけてくれた。
「何でわかったの??」と女の子。「お前ならここにいると思った。」と男の子。
この本が大好きだった。
まさかそこまで望んでないけど、見つけてくれるかな、と試したくなった。
木の陰から蓮本を見る。
困ってるみたい。
さすがにそれはないか、と思って、いすの横に手を着いて、ゆらゆらしてみた。
「ぅわぁ!!」
「ひゃぁ!!」
ビビビビ、ビックリ!!
「ぅわ…。びびった…。」
「いや、ごめん…。」
でも、見つけてくれたのは嬉しかった。
「なぁ、おめー、お化け屋敷苦手だろ??」
頷く。あ、ポテトうま!!
「なんであんなの入るかわかんないんだけど。」
「スリル感がいいんじゃん??」
蓮本もポテト、食ってる。
「そぉ??」
「んだ。夢がねーなぁ…。」
「夢ならあるし。」
夢ってか、野望かな??
あ、ポテトなくなった。
「何??」
「えー…。」
蓮本の、貰ったろ。うん、美味!!
「長嶋!!てめー!!」
「何??」
今度はうちが聞く番だった。
「俺、このポテト残しといたのに…。」
「好きなものは残しとくタイプ??」
「なぁんだよー。自分の食べれよ。」
あたしの質問、無視ね。
「あたしのなんか、とっくにない。好きなの、すぐ食べちゃう。」
「あーそっ!!」
「ふ。」
駄々こねてる蓮本がかわいかった。
「何笑ってんだよ。」
「なんだよ。」
仕返しのつもりか、お化け屋敷に入れられた。
でも、蓮本がいてくれたからか、あんまり怖くて、「案外怖くないわ。」って言ってやった。
悔しそうだったのがうけた。
それでも時は容赦なく過ぎていく…。
「見てよ、後ろ。観覧車。」
「きれーじゃん。」
「『君の方が綺麗だよ。』とか、言うんでしょ。こうゆうとき。」
「まぁなぁ。」
「本心??」
「半分ぐらい。」
「ふーん。」
「乗りたい??」
聞かれて困った。
乗りたくないことは、全然ない。
「ん??うーん…。じゃぁ、最後に。」
それでも、乗るときは緊張してた。
「夜景、きれー…。」
だんだん上がっていき、景色もどんどんきれいになってった。
「君の方が綺麗だよ。」
「本心??」
かまかけてみた。
そしたら、笑いやがった。
でも、その笑顔がかっこよかったので、なんだよ、と言って、笑った。
蓮本の目が、あたしを上から見ていく。
「何??」
今日の服、だめだった??
「いや。」
「なんだよ。」
さっきからこんなのばっか。
あきれて笑った。
「お前、今日、よく笑うんだな。」
「おもしけりゃ、笑う。当たり前。」
だって、そうじゃん。
「じゃぁ、学校、おましろくない??」
ビックリした。学校のあたし、見てるってこと??
「まぁ、そかな。」
横を向く。
観覧車は天辺を通り越してしまってた。
「なんで??友達??」
問われる。