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恋売り。
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恋売り。〜愛の行方〜-5

「別に。」
「授業??」
「別に。」
「行事??」
「別に??」
「じゃぁ、なに??」
「全部かも。」
「なんだよそれ。」
でもね、わからないの。
蓮本がしかめっ面してるから、慌ててつけたす。
「別に、そんなに思い悩んではいないよ??」
一回、口を閉ざす。
「ただ…。何したいかわからないし、何していいのか、わからない。でも、何かしたい…のかな。」
なに言ってんだし…。
暗くなんじゃん。
「長嶋…。」
やだ、蓮本は、そんな顔しないで。
「あー、なんかしんみりしてきたし。やめよ、うん。」
「そんなこと言うな。」
「だって…。」
あたしの話なんか…。
「言うな。何がしたいかなんて、誰もわかないんだ。」
真面目な顔で言ってくれた言葉が耳でコダマする。
「色が無いんだよね…。」
言葉があふれ出す。
ふ、と笑ってみる。
「でも、今日は笑えてよかった。」
本当、一緒にいてくれて。
「ありがとう。」
ビックリした。こんな素直な言葉が出てくるなんて。
それは蓮本も。
「な、なんだよー。」
「そんな、笑いたいなら、呼んでくれればこうやってぇー…。」
こうやって…。
そうだ、これは蓮本の仕事。
あたしは、客の1人にすぎない…。
悲しくなった。
「仕事入れろっていってんの??」
「は??」
「同情…してんの??」
そんなことが言いたいんじゃない…!!
「意味わかんねー!!」
「あんたが言い出したんじゃないの!?」
「だから、俺が、笑わせてやるって!!」
「最悪…。偽善者ぶってんの!?」
止まらない。
「ちげーよ!!」
「かわいそうでしょ??つけこんで金取る??」
違うの、そんなことが言いたいんじゃなくて…。
「だぁから!!」
必死に弁解する蓮本。
「もぉ、いい。」
自分に疲れた。
タイミングよく開いたドアから降りた。


1人で歩く、夜の街。みんながあたしの存在なんて気にしてない。
蓮本は、あたしの話を聞いてくれた。手を差し伸べてくれた。なのに、あたしは自分からその手を拒んだ。同情で差し伸べられた、その手を。
あたしは悲しかった。同情、というものでしかあたしたちの手を繋ぐことができないことが。もっと違うもので繋がっていたかった。
それは、あたしのわがままなんだ。
「明日はガッコ休も…。」
今は誰にも会いたくなかった。


「はぁー…。」
来てしまった。理由は簡単。出席日数が足りないから。しかも先生直々のお電話ときた。今日は行くしかない。
気が重い。
クラスの中に一歩足をいれる。
「おい、長嶋!!」
ビクッと体が硬直する。
蓮本…。
あたしにどんどん近づいてくる。
そして腕を掴む。
「や…。」
「お前、ちょっとこっち来い。」
引っ張られる力に男を感じる。
「ぃや…。」
「いいから。」
顔を上げた。
そこには悲しそうな顔をした蓮本がいた。
拒めない。


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