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代車
【OL/お姉さん 官能小説】

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綾乃の悲しみ-1

金曜退社時間となり席を立つと宮崎も一緒に席を立った
着替えて来るねえ車で待っていて 耳打ちすると更衣室へと消えて行った
エンジンを掛け五分程で 宮崎が助手席に乗り込んできた 
「牛丼行きましょう」渡部が車を走らせ 

「もう少しましなの」

「では コンビニ弁当」

「安い」宮崎が笑う 
車がホテルの駐車場に入ると 宮崎が怪訝な顔をして 

「渡部君ここ少し高いよ」
渡部は黙ってレストランに入り 宮崎も付いて来るが落ち着きが無い
席に着き メニューを渡され 宮崎が目を丸くして値段を見ていた

「嫌いな物有ります?」 渡部にきかれ首を振りメニューを見つめている 
渡部が体を伸ばしメニューを取り上げ 渡部の顔をまじまじと宮崎は見つめた 

「あなた渡部君だよね?」 
「はい」渡部が小学生の様に答え笑った
手を上げ ディナーをオーダーし ワインを頼んだ 
宮崎が驚いた顔をして渡部を見 ワイングラスにワインが注がれ
渡部が口をつけるのを見て宮崎も飲み始め 
スープから始まり食事が始まると宮崎が美味しいと喜んでいた
赤ワインがグラスに注がれ係が席を離れた時 

「このワイン確か10万とか 嘘だよね」と確かめる様呟いた 

「それくらいでしょう」と渡部が事も無げに言う言葉に 

「あなた渡部君だよね?宝くじでも当たったの?」と顔を見つめてくる 

「エイリアン渡部です」 おどけながら

「お名前は?」

「綾乃 変わったよね 貴方 仕事が速くなったし 英語で打ち合わせするし
 係長から嫌味言われなくなったしどうしたの?」

「変わってませんよ 私は私です」 笑いながらグラスを運ぶ 

「今日はどっか町の和食でも 連れてって貰えば良いかなと思ってたら
 こんな所に連れて来るんだもの 支払い大丈夫?もしなら私カード有るから」
綾乃が心配顔で言った 

「大丈夫ですよ」渡部はワインをのみながら答えた
美味しいですよ このワイン綾乃もグラスを傾け
デザートが終わり渡部は係を呼び伝票に部屋番号を記入すると
行きましょうと綾乃を促した
エレベーターホールに渡部が歩き

「何処行くの?」と綾乃が誰何してきた
「上に カクテルラウンジが有るんです 夜景が綺麗ですから 
 人妻口説こうと思いまして」渡部が笑いながら言うと 綾乃も釣られて 

「どうせ牛丼一杯の人妻ですから」 と言い返してきた
カクテルラウンジは 床に明かりが間接で灯り 暗い室内を浮き上がらせ 
窓側に二人席が並ぶ中 係に案内された席に座り 頼んだ飲み物を口に運び
二人は夜景を見つめていた 綾乃が口を開いた 

「綺麗ね・・・」渡部が無言で綾乃を見つめ 綾乃が目を伏せ暫く無言が続いた 

「あのね・・・」 少しの間が開き 

「私写真見たの・・・」と話始めた

「主人とは 紹介だったの私が29の時紹介されて 
 1年ぐらいお付き合いして結婚したの 普通の生活だったわ 
 私も仕事して良いって 主人が言うから仕事 続けられたの 
 主人学者だけど 優しいのよ 家の中でも ただ 
 夫婦生活が無いの一緒にいるだけ」 渡部に顔を向け渡部は無言で見つめ返した

「女が居るのかなって思って 去年調査して貰ったの 女の影は無かったわ 
 でも探偵さんが 1枚だけ写真を呉れたの 1か月の調査でこれしか 
 お渡しできないのは初めてです」

「それは 主人が助教授と手を繋ぐ後ろ姿なの 主人との付き合いは 
 私より長いって聞いてる 一緒の研究しているって聞いた事合ったから

「その写真の手が 恋人繋ぎなの 二人は何時も一緒だけど注意してたのね 
 一か月探偵さん調査して 1枚だけ撮れたの」
「でも・・・・・」 間が開いた 

「かなわないわ・・・・」小さく呟いた

綾乃の目が潤み 涙が溢れ出る 
綾乃は渡部を見ながら声を出さず涙だけを落とし続けた 
スーツの膝に涙がシミを広げ 渡部がハンカチを差し出した
グラスを持ったまま綾乃は夜の夜景を見つめていた 
渡部は黙って横顔を見ていた 綾乃の顔が渡部を向いたとき行きましょうと
渡部は立ち上がった綾乃が付いて来る 
エレベーターホールを過ぎ階段を降り始め 

「下まで歩かせるの?」 
何時もの声で綾乃が話掛け 19階でフロアーに出て部屋の鍵を開け
ドアの前で綾乃は立ち止まり 

「渡部君」と強い語調で呼び止めた 

「入って見てください ここ 寝室2つ有るんです」渡部の言葉に 
綾乃が入り 部屋を見渡し 

「広いわね・・・」バックを持ったまま部屋の中を歩く 

「宮崎さんそちらの部屋使ってください 鍵掛けられますから」
渡部は話しながら スーツをクロゼットに入れ 


「私シャワーしてきます」 渡部はシャワールームへと入って行った
シャワーから出ると 室内の明かりが消え 
窓際で椅子に腰かけ窓の外を見つめる綾乃がいた 
渡部は黙って近づき綾乃が顔を上げ目には薄っすらと涙が光っていた


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