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鬼の棲む部屋
【ホラー 官能小説】

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鬼娘かわいい-2

正人はおずおずと手で勃起した股間を隠して、目の前にあらわれた白装束の不機嫌そうな表情の女の子と、呆然としたまま無言で見つめ合っていた。

「なんじゃと、幽霊などではないわ。座敷わらしかだと?」
「ここ、事故物件らしいし、見ためがその、噂で聞いたことがある座敷わらしっぽい気が」
「そんなものではないわ。われは鬼なるぞ、それを幽霊だの妖怪だのと。最近の人間ときたら、まったく、どうなっておるのじゃ!」

正人は不思議とおかっぱ頭の白装束の女の子に、こわさを感じなかった。
テーブルで向かい合って、おたがい正座していたが、パチンコ店の景品でもらってきたポッキーを開けて、正人が食べてみせてから渡すと、自分は鬼じゃと言う女の子は黙ってぽりぽりと食べている。

(近所の子供が勝手に入ってきたのかなぁ、でも、カギをかけたトイレの扉が開いたんだよな)

「これはうまいの」
「お口に合って何よりです」

正人は思わずなごんでしまった。トイレの前で仁王立ちだった時とちがって、女の子が、にこやかに笑っている。

(鬼ってお菓子を食べて笑うのか。なんか、かわいいぞ)

とりあえず、エロ動画ではなくアンパンマンをテーブルに置いて見させておく。正人は何を話しかけたらいいかわからなかったからだ。

(鬼だと言うけど、ツノとか牙があるわけじゃないんだな)

正人はインスタントコーヒーを飲みながら、女の子をチラチラと観察していた。

「あんぱんち」

ぼそっと女の子が画面を見つめながらつぶやいたので、正人はコーヒーを吹き出しそうになった。子供っぽい反応すぎると思った。

しばらくして、動画を見ながらうたた寝を始めたので、起こすと目をこすりながら、のそのそとシングルベッドの布団が占領された。
正人はしかたなく、普段使わない寝袋を引っ張り出してきて眠った。

翌朝、ベッドを占領した謎の女の子の姿はなかった。シャワーを浴びて、職業安定所に出かけた。
暮らし始めた部屋から通える職場という条件で、正人は職探しをした。

「おお、帰ったか!」
「うわっ、た、ただいま」

シングルベッドに腰を下ろして、謎の女の子が話しかけてきた。

「えっと、おなか空いてないですか?」
「空腹なのはおぬしであろう」

今朝はどこに消えていたのか。
ただ見えなかっただけなのか。
聞いてみたいことはいくつかあったが、お弁当をひとつしか買って来なったのでどうしようかと正人は思った。

お弁当屋の「のり弁当」のおかずは、タルタルソースをかけた白身魚のフライとちくわの磯辺揚げ。
謎の女の子は、ちくわの磯部揚けをもそもそと食べていた。

「あの、魚のフライも食べますか?」
「それはおぬしが食べよ。いらん!」

たしかに、タルタルソースをかけた白身魚のフライも食べたいと言われなくてよかったと、気が変わったと言われないうちに「のり弁当」を正人は食べてしまうことにした。

正人が食べ終わると、謎の女の子は昨日の続きの動画観賞を始めた。

(あー、まいったな、これじゃ、オナニーできない)

正人は帰ったら謎の女の子はもう部屋にいないと思い込んでいた。

「あの、俺、シャワー浴びてきます」
「シャワーとはなんだ?」

正人は浴室へ謎の女の子を連れて行き、浴槽にシャワーのお湯を出してみた。

「おお、お湯の雨じゃの!」

今どきシャワーを知らない子供かいるのかと正人は思いながら、裸になって体を洗うんですと説明してみた。

「ふむ、おぬしはこれから、身を清めるために行水するのだな」

何かちがうと思ったが、そうですと言ってトイレの扉みたいに開けないでほしいと頼んでみた。
とてとてと部屋に謎の女の子が戻ったので、アンパンマンの動画を再生した。

(これで一発ぬける!)

正人は鼻歌まじりで、バスタオルや服の着替えを用意した。
浴室で頭と体を急いで洗い流すと、まだ半勃ちの肉棒を軽く扱いた。
パッと手を放して、つい女の子の気配がないか確認してしまう。
正人は目を閉じて、何かムラムラできそうなことはないか考えてみた。
お弁当屋でアルバイトをしていた若い女性店員しか思い浮かばない。
しかたないとそのまま目を閉じて、肉棒をしこしこと扱いていると、半勃ちから勃起した状態になった。
正人は若い女性店員にフェラチオしてもらっているのを妄想していた。
伏し目がちで時々、口から咥えていると疲れるのか口から放して、お弁当を手渡してくれたしなやかな指先を思い出しながら、正人は肉棒を軽く握って扱く。

ガチャッ。
浴室の扉が開く音に気づいて、正人は慌てながらも扱くのを射精寸前で手を放して止めた。

「ど、ど、どうしたの?」

浴室の扉が少し開いていて、湯気が逃げていく。

「なんでもない」

浴室の扉が閉められた。女の子は部屋に戻って行ったようだ。
ふぅ、と正人はため息をついた。冷水を股間にかけて、萎えるのを確認した。

「あの、鬼様はお風呂、いや行水はなされないんですか?」
「おぬしの見えない時に、日に浴びて身を清めておる」

正人が寝袋を用意していると、そばに来てのぞき込んでいる。使い方を説明すると、使ってみたいと言い出した。

(これはこれでかわいいな、うん)

そのまま目を閉じて、すうすうと寝息を立て始めたので、正人も今夜はベッドで眠ることにした。

(なんかいい匂いがするような)

気がついたら朝になっていた。
寝袋の中から、謎の女の子は姿を消していた。部屋のどこかで、朝の日の光を見えないけれど浴びているのかと思いながら、カーテンを思いっきり開けて部屋に光を入れてみた。

午前中に冷蔵庫が届いた。洗濯機はまだ届かないので、洗濯物をビニール袋にまとめて、駅へ行く途中のコインランドリーまで運んでいった。


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