「背徳と退廃・花嫁Mの手記」-6
「それにしても、実にキレイだ。君の真っ白い肌に惹かれていたんだが……オマンコの花ビラの色まで透き通ったピンクじゃないか。まだあまり踏み荒らされていない蕾のようだが……ふふっ。まるで大輪の白薔薇じゃないか。やけに割れ目の花ビラが縦に長くて、気の毒なくらい淫蕩な素質を持って生まれたようだな」
こんな下品な言葉を口にされるなんて、普段の教授からは想像出来ないことでした。
「どうなんだ、大竹くん。今までに何人の男のモノをココに受け入れてきたんだ?」
とうとう教授のヌルッとした舌がわたくしの秘唇を舐めあげてきたんです。初めての淫らなクンニにわたくしは悲鳴をあげるしかなかったのです。
「い、嫌ぁ、あっ……ああっ」
わたくしの全身は瘧にかかったように震えあがり、鳥肌が立ちました。
教授のぶしつけな質問に答えるなんて、恥ずかしくて出来るはずがありません。
わたくしに言い寄ってきた男の子は沢山いました。大学でミスキャンパスに選ばれたわたくしですが、性に関しては奥手だったんです。デートを重ねるようになった方は三人いました。でもわたくしはそれまで一度もセックスしたことが無かったんです。女友達からは、どうしてセックスを愉しまないのかと不思議がられていました。
バージンのままでいたかった訳じゃありません。
ただ怖かっただけなんです。
自分のことが怖かったんです。
わたくしの内に秘めた倒錯した性癖を晒すことを何よりも恐れていたんです。被虐的な願望のことです。
子供の頃にママからお尻を打たれ、ひどく昂奮を覚えた自分。小説を読むようになってからは官能的な場面のマゾヒスティックな描写に下半身を妙に疼かせてしまう自分……そんな被虐的な性癖を相手の方に見破られるのが怖かったのです。
堂島教授だけはわたくしの被虐願望を以前から見抜いておられたのかもしれません。
わたくしが教授から与えられた研究課題はマルキ・ド・サド侯爵の文学でした。気味が悪い倒錯性愛と神への冒涜に満ち溢れた小説ばかりです。わたくしは何度も嫌だと拒んだのです。でも教授はサド侯爵の文学の背徳と退廃の美学の研究をどうしても続けるようにと頑固に言い張られたのです。
あの頃からすでに堂島教授はわたくしの身体を狙っておられたのかもしれません。
「今夜は、君を家に帰すつもりはないんだ」
教授はわたくしの真っ白な秘唇を五分近くも舌で舐め回した後で、ベッタリと濡れた口元をほころばせながらそうおっしゃったんです。
わたくしは涙を噴き零しながら、ひたすら耐えているしかなかったのです。ただ気持ちが悪かっただけです。
でも、朝まで家に帰さないだなんて……狂気の沙汰です。
わたくしは無断で外泊したことはありません。両親が心配するに決まっています。狂気じみた教授が何を考えておられるのか、理解出来ませんでした。