「背徳と退廃・花嫁Mの手記」-27
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このSM専用のラブホは、教授との二人だけの淫戯を密かに愉しめるような場所ではなかったんです。まさしく背徳と退廃の館でした。倒錯した欲望の渦巻く巣窟であり、魔窟でした。
部屋を選んでチェックインを済ませ、エレベーターに乗り込んで4階で降りると、エレベーターホールの片隅にスポットライトを浴びたセックスドールが立っていたんです。思わず息を呑むような美しいシリコンの精巧な人形です。
わたくしの肌のような純白の透明感のある裸身にどす黒いロープが複雑に絡まり、一つの芸術作品のような見事な緊縛が施されていたのです。
「いつ見ても、惚れ惚れするな」
教授はこのラブホに何度か来られたことがあったみたいです。
いかにも怪しげで淫靡な雰囲気です。
あああんっ……い、いいっ。
甘ったるくて悩ましい女性の喘ぎ声がエレベーターホールにまで響いていました。
「な、何?」
キャバヒールを履いた脚をよろめかせて、教授の腕にすがりついたんです。
「何も驚くことはないだろ。鞭を打たれた女の悲鳴だろ」
教授は愉しげな表情をされながら、銀色のボディコンの裾を更に捲り上げ、ぺっこりと凹んでいるわたくしのお腹まで剥き出しにした惨めな格好にされたんです。
「ああっ。こんなところで……いいんですか」
わたくしは完全に露出してしまったお尻をクネらせながら、ゾクゾクしていました。
部屋からわざわざ出て来て、真っ赤な絨毯の敷かれた廊下でこれ見よがしに淫戯を愉しんでおられるカップルがいました。
「おおっ。これは、これは……外人のモデルさんみたいな、えらいベッピンのオナゴやないか」
教授に連れられているわたくしの恥ずかしい姿をご覧になりながら、大阪弁丸出しの男の方が感激したような声を張り上げられました。
五十は過ぎているその胡麻塩頭の男の方は廊下の壁にもたれて、セーラー服の上着だけを着た女性を足元に膝まづかせてフェラ奉仕をさせていたんです。その少女の下半身はわたくしと同様に剥き出しでした。お尻をしきりにクネらせていたんです。ウィンウィーンと唸りをあげるバイブが少女のアナルに埋め込まれているのが見えました。
「ははは。コイツは外国人じゃないですよ。こう見えても、立派な大和撫子です」
教授は別段驚いた表情もされずに、大阪弁のオジサマと日常の会話を交わされるような返事をなさっていたんです。
「そうかいな。それにしても、真っ白い肌が透き通ってるやないか」
「あなたのお相手さんも、カワイイ女の子じゃないですか」
「これか……これはまだ十代や。ツルツルの青いケツがエロイやろ?」
まさか廊下で、こんな猥褻なプレイが当然のことのように行われているとは思ってもいなかったんです。
「それにしても、あんさんが羨ましいわ。こんな脚のスラッとした外人みたいなベッピンさんを飼うてるんやもんなぁ」
「こうてるて、何ですか?」
「このベッピンをマゾ調教して、飼うてるんやろ?」
「飼ってるってことですか」
「そや……ほれ、見てみい。綺麗なピンクのオメコからヤラシイ汁や。もうえらいこと垂れてるがな」
大阪弁のオジサマはイラマの腰使いを荒くしながら、わたくしの露わになっている下半身を舐めるように見詰めてこられるんです。わたくしは一階のカウンターの前でイッたばかりです。一目で分かるほど、あさましい雫を滴らせていました。それをジロジロと眺め、嫌らしい下卑た笑みを浮かべられるのです。