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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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混沌とした世界(後編)-1

ソラナは、密偵からロンダール伯爵とゴーディエ男爵の連絡を取り合うための伝達係として、メスの巣に滞在する任務を与えられた。

ゴーディエ男爵は貴族や市民の暮らす街へ戻り、4人の内政官に、ロンダール伯爵領との不戦協定が結ばれたことを報告した。

「このフェルベーク伯爵領は、ロンダール伯爵領、バーデルの都、テスティーノ伯爵領と隣接している。パルタの都は距離が離れているので、攻め込まれても迎え討つ準備ができる時間があるから問題はない。バーデルの都から攻め込まれたとしても、ロンダール伯爵領からバーデルの都に威嚇してもらえば撤退する可能性は高い。テスティーノ伯爵領と戦になった時に、ロンダール伯爵領から攻め込まれる心配はなくなった。しかし、テスティーノ伯爵領との間にバーデルの都から攻め込まれたら危険がある。そのために4人に意見を聞きたい。テスティーノ伯爵領とバーデルの都、どちらと不戦協定を結ぶべきか?」

ゴーディエ男爵から邸宅へ呼び出された4人の内政官たちは顔を見合せ、しばらく4人で話し合っていた。
テスティーノ伯爵と同盟を結ぶのは、テスティーノ伯爵領は各地の伯爵領から逃れてきた平民が集まっている歴史がある土地柄から、フェルベーク伯爵領から攻め込まない限り戦にはならないと考えられる。しかし、同盟には応じない。フェルベーク伯爵領から逃亡した「メス」を保護している。同盟を結ぶことになればテスティーノ伯爵は「メス」をフェルベーク伯爵領へ送還しなければならなくなるからである。

「送還要求をしない条件では、フェルベーク伯爵から、市民になれない者やメスが、さらにテスティーノ伯爵領へ逃亡して、作物の生産に影響が出るでしょう。生産が減少しても、バーデルの都の市場で必要な食糧を補うための取引ができれば問題は起こりません。現状のバーデルの都の市場は他の伯爵領から持ち込まれる商品の食糧はあってもかなりの高値でしょう。食糧の生産に影響を出すわけにはいかないので、ここはバーデルの都と同盟を結ぶべきでしょう」

内政官グンターは、フェルベーク伯爵領からの逃亡者と食糧生産の問題を考え、バーデルの都と同盟を結ぶべきという見解を述べた。

「バーデルの都の建て直しの資金援助を生前のフェルベーク伯爵は断りました。奴隷市場の利益に関しては、ロンダール伯爵領へ3割、我々のフェルベーク伯爵領が7割という条件で、ロンダール伯爵領からは奴隷市場の建て直しの費用は出さないという条件をのみ、奴隷市場はフェルベーク伯爵の全額出資によって再開しました。不戦協定を結ぶ条件として、奴隷市場の利益をすべて我々に譲渡するよう交渉すべきでしたな」

奴隷市場からの収益を管理している内政官フェルモは、ゴーディエ男爵に不戦協定の結ぶ条件を再度ロンダール伯爵へ交渉して欲しいと意見を述べた上で、同盟をどちらと結ぶべきかは、ロンダール伯爵からの意見を参考にするために招くことを提案した。
フェルモは、美青年や美少年、筋肉のがっしりついた闘士ではなく、小太りで優しげな顔立ちの男性が好みである。つまり、ロンダール伯爵はフェルモの好みの男性であり、フェルベーク伯爵がバーデルの都へ女伯爵シャンリーから招かれた時に、バーデルの都でロンダール伯爵を見てずっと気になっている。
どうにかしてロンダール伯爵とお近づきになりたいというのが本音のようだ。

「ロンダール伯爵を街に招待する案は悪くない。奴隷市場の利益の取り分は、交渉に持ち出さない方が私はいいと思う」

ゴーディエ男爵は、宿場街ケールでフェルベーク伯爵領から逃亡してきた赤ん坊を抱えた若い母親を見た。
ロンダール伯爵領へ逃亡する「メス」の手助けは、奴隷商人が行っていた。
宿屋から出てきた時、もう「メス」の母親は赤ん坊を抱いておらず、奴隷商人の幌馬車に乗せられ立ち去った。
母親の「メス」は自分が産んだのか、同じメスの巣で別の「メス」が産んだ子かわからないが、女児の赤ん坊を宿屋で待つ者に引き渡して、奴隷商人によって奴隷市場の奴隷として落札されることで王都や娼館などへ流れ、フェルベーク伯爵領から逃亡するという。
ロンダール伯爵領ではフェルベーク伯爵領から女児の赤ん坊と「メス」を保護ではなく回収していた。
女児の赤ん坊は、村にあずけられ、それぞれの才能をのばすように育てられる。
「メス」が落札された利益うちの3割が引き渡された赤ん坊の養育費にされる。もちろん足りない。資産家のロンダール伯爵は幼女や少女が好きなので、私財をつぎ込んでいる。フェルベーク伯爵領から逃げるために奴隷商人が協力する条件は、女児の赤ん坊を引き渡すことのみである。
ソラナから説明され、ゴーディエ男爵は唖然として言葉が出なかった。
自分が助かるために、赤ん坊を代償で差し出す事が行われている。
テスティーノ伯爵は逃亡してきた女性や幼い赤ん坊を領民として保護している。ロンダール伯爵は、女児の赤ん坊だけを保護して、赤ん坊の母親か同じメスの巣からの逃亡者は、保護せずに奴隷市場へ売り飛ばしている。
フェルベーク伯爵領からロンダール伯爵領へ逃亡した「メス」が落札された金額の7割が収益として、フェルベーク伯爵領へ渡されている。「メス」を換金するのにロンダール伯爵が協力しているともいえる。
奴隷市場の利益をフェルベーク伯爵領が独占すれば、ロンダール伯爵は奴隷市場に逃亡者の「メス」を売り飛ばさずに、自領で働かせるだろう。そうなれば、フェルベーク伯爵領の損失だけになる。
内政官フェルモはロンダール伯爵を招待してもらいたいだけで、現在の奴隷市場の取り分の7割に大きな不満があるわけではない。
まだ少年奴隷の人数は女性奴隷の人数よりも少なく、希少価値で高額で取引されている。
奴隷市場へ奴隷商人が連れてくる商品の「メス」が減少すれば、希少価値の高値は維持されず損だとゴーディエ男爵に説明されて、内政官フェルモは奴隷市場の取り分に関しての意見を取り下げた。


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