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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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レナードの覚醒(中編)-5

神聖教団の術師が、ローマン王の呪殺には失敗した。しかし、皇子ランベールがローマン王を毒殺して王位を簒奪した。
それはシャンリーが、毒物をランベールに与え協力していた。
ローマン王が崩御しても、教祖ヴァルハザードの復活の兆しは消えず、リヒター伯爵に教祖ヴァルハザードの怨霊が宿り復活すると、シャンリーへ再び協力を要請した。
シャンリーは神聖教団が教祖ヴァルハザードの復活を阻止するために、協力を要請している事情は教えられていない。
辺境の焼き討ちされた村から回収しておいた呪物の村人の人骨を、金で人を動かして、リヒター伯爵へ渡るように手を回した。
神聖教団がローマン王の呪殺を実行したことで、シャンリーによってランベール王への呪詛が行われる事になった。
神聖教団は教祖ヴァルハザードの復活する運命を阻止するはずが、シャンリーを協力者としてゼルキス王国へ潜入させていた呪術師が選んだため、逆に復活を補助することになってしまった。

ランベール王と容姿のそっくりなレナードが近づいてきたので、シャンリーは神聖教団の呪術師が行った呪術と同じ呪法を行った。
ローマン王とクリフトフと交わり、贄を捧げて魔力の弱いクリフトフに凶運をもたらすことで、ローマン王にも影響を与える呪法であった。
ランベール王とレナードとシャンリーは交わり、どちらにも愛撫した少女の娼婦を蛇神のナイフで贄に捧げた。
皇子ランベールとレナードは虚脱したが、ローマン王は、すでに毒殺されて死んでいた。亡霊となったローマン王は、過去の呪いの因果から、ランベール王の肉体に宿った。
リヒター伯爵に神聖教団が呪詛を実行させなければ、王位についていたのはリヒター伯爵の可能性があった。
もしも呪詛の影響がなく、リヒター伯爵が王位についていたとしたら、障気の影響で教祖ヴァルハザードの記憶が与えられていたのは、ランベール王ではなくリヒター伯爵だっただろう。
シャンリーは、ローマン王の呪殺に失敗した呪術師になりすまし、神聖教団から自分に必要な呪術の知識や密偵として工作に必要な品物を手に入れていた。

シャンリーは呪術師の恋人として、ターレン王国の名門貴族を3人殺害して遺産を手に入れるために利用していた。
そして呪術師が、ゼルキス王国では身元不明で死亡したあとは、シャンリーが呪術師として神聖教団とつながりを持っていたのである。
神聖教団もシャンリーを疑いレナードを近づけて調べようとしたが、レナードを呪詛に利用されるとは神聖教団は考えてはいなかった。シャンリーが呪詛を実行できる呪力を得ているとは、まったく考えなかったからである。
未亡人として結婚相手の遺産を得た女性で、宮廷官僚の貴族と関わりがある辺境の商人という認識でしかなかった。

マキシミリアンとセレスティーヌは、教祖ヴァルハザードの復活を、神聖教団が警戒し続けていることを知らない。
シャンリーが自らの身体とメイドの美少女エステルの身体を交換していて、姿をくらましていることは、呪術師ロンダール伯爵以外は考えていない。
僻地のストラウク伯爵領には、シャンリーの処刑に関する情報が届いていない。

リヒター伯爵の血筋は王族の血筋でもあることや、ランベール王即位の時にはリヒター伯爵を王位につける計画が、バーデルの都の領主バルテット伯爵とベルツ伯爵によって進められていた事をストラウク伯爵は賢者マキシミリアンとセレスティーヌに話した。

呪術師の一族の当主てあるロンダール伯爵がいれば、クリフトフとローマン王、レナードと皇子ランベールに実行された呪法と因果の関係を推理することができたにちがいない。

「神聖教団がターレン王国の王族を、呪術を用いるほど警戒していることはわかった。この呪詛をストラウク伯爵はどう考えますか?」

ターレン王国は、蛇神を信仰する国を滅ぼして建国され、現在の伯爵領は蛇神の信者を弾圧して奪い取った歴史がある地域がほとんどであること。支配者として弾圧せずに土地の者としてなじんだストラウク伯爵領や他の伯爵領から逃げてきた流民が集まったテスティーノ伯爵領がある地域が特殊であることを説明した。

「神聖教団の布教もターレン王国の歴史の中では行われたことも過去にあると思われますが、普及していません。それは蛇神の信仰の土地であった歴史と関わりがあるのかもしれません」

マキシミリアンは、王都トルネリカ、パルタの都、バーデルの都の由来をストラウク伯爵から聞くことができた。

(ミミックが転移の魔法陣が使えない土地と言っていたのは、いわくつきの土地で、魔法を阻む力があるのか)

神聖教団は大陸各地に布教してきたが、転移の魔法陣が主要な都で使えす、ゼルキス王国からターレン王国へ辺境地域を抜けて来なければならなかった。ダンジョンから転移の魔法陣を使えるようにしたのは、マキシミリアンがダンジョンに住みついてからで、ミミック娘の協力がなければできないことだった。
神聖教団は、ダンジョンの深層階にターレン王国へ行ける転移の魔法陣があることを知らない。
賢者マキシミリアンはターレン王国に神聖教団の信仰が広まっていないのは、ゼルキス王国とターレン王国が辺境地域の利権をめぐって長く膠着状態であり、両国の国交がうまく行われていないためと考えた。

「セレスティーヌ、人間の王はもともと魔力の強い人間が選ばれていたんだよ。そして、魔獣と戦って国を守っていた」
「それは古代エルフ族がいた時代でしょう。今はちがうわ」
「ターレン王国では、平原の国やゼルキス王国とは事情がちがうようだ」

ニクラウス王。リヒター伯爵の血縁にあたる王が伯爵な地位から王位を継いだのは、伯爵領と宮廷議会の分裂を避ける政治的な政略でもあったが、王都トルネリカの鎮めの巫女を残す必要があったからである。
踊り子の女性は護りの者として魔力が強い。踊り子を孕ませるには、男性も魔力が強い者でなければならなかった。


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