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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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レナードの覚醒(前編)-9

クリフトフとマルティナが、ゼルキス王国の王都王都ハーメルンに戻って、フレイヤに確認すると、レナードの手紙は奴隷商人シャンリーと接触してみるという内容だった事が判明した。

「奴隷売買は、ターレン王国でも違法のはずですが。辺境では人身売買が行われていたのでしょうか?」
「どうだろうな。今の状況では辺境の住人たちに確認することもできん」

クリフトフ将軍は、レアンドロ王に謁見することにした。
マキシミリアン公爵とレアンドロ王の兄弟とクリフトフ将軍は、子供の頃からの親友でもある。
マキシミリアン公爵と久しぶりに会って話した内容を、クリフトフ将軍はレアンドロ王に伝えた。

「クリフトフ将軍、神聖教団はターレン王国ともゼルキス王国と同じように布教できる関わりを作ろうとしていたが、ローマン王が崩御した事で、関係が作れなかったのかもしれぬな」

レアンドロ王には神聖教団の計画と頓挫した理由まで想像できた。

「神聖教団がどこまで、ターレン王国と関わりを持っていたのかわからぬが、ローマン王からランベール王が即位しても奴隷商人のシャンリーという者と神聖教団が関わる必要があると判断し、案内人のレナードは教団の指示に従い接触したに違いない。その後、レナードはクリフトフ将軍や娘のフレイヤと音信不通になった。レナードは奴隷商人のシャンリーと接触したが、辺境の村を焼きはらった件を隠蔽するために捕らえられたか、逃亡してターレン王国のどこかで潜伏しているのかもしれぬ」

レアンドロ王は、兄のマキシミリアン公爵が、案内人のレナードの情報を神聖教団が隠しているとクリフトフ将軍に伝えたことで、神聖教団が異界の門の解放を容認していた可能性に気づいた。

「奴隷商人シャンリーか、村を焼き討ちにした賊のガルドは、神聖教団と関わりがある人物なのだろう。神聖教団から、案内人レナードと僧侶リーナが連絡がつかないため、引き続きターレン王国の調査の依頼が来ていた。ターレン王国とゼルキス王国が戦になるかもしれない緊迫した状況であると報告して丁寧に断りの書状を送ったが、ゼルキス王国とターレン王国が戦となれば、ゼルキス王国が勝利して統一されると神聖教団は考えるだろう。聖騎士ミレイユや騎士団の戦乙女たちもいる。ゼルキス王国とターレン王国が統一されたら、ターレン王国であった土地へ、神聖教団は布教を始める許可を求めてくるにちがいない」
「ターレン王国との戦を仕掛けられているという事ですか?」
「ターレン王国から、辺境にあらわれた魔物の討伐の依頼を神聖教団が受ける計画があったのかもしれぬ。ターレン王国と神聖教団をつなぐ依頼を私が断ったということは、辺境はどちらの国も進軍可能だと判断するはずだ。さすがにターレン王国を侵略してほしいとは、神聖教団から依頼してくるとは思えんが」
「ターレン王国の状況はどうあれ、ダンジョンにいるマキシミリアン公爵の元へ息子のレナードを見つけ出して連れて行く必要があるようです。マキシミリアン公爵は、ゼルキス王国にもある転移の魔法陣でターレン王国へ侵入する気のようです」
「兄上たちがターレン王国へ潜入しているあいだは、ゼルキス王国の転移の魔法陣を封鎖してしまえば、ターレン王国からの侵入者を防ぐことはできる。だが、そうすれば、神聖教団のハユウとゼルキス王国の王城を往復して書状を運ぶ使者も行き来できなくなってしまう」
「ダンジョンから直接、ターレン王国に侵入し、ターレン王国に転移の魔法陣を残さずにダンジョンへ戻るつもりのようです。なので、ターレン王国からの侵入者の心配はないかと。また、セレスティーヌ様から国境の魔法障壁によってターレン王国からゼルキス王国へ転移の魔法陣で移動はできないとのことです」
「兄上はターレン王国で何をする気なのか、クリフトフ将軍、聞いておるか?」
「レナードを迎えに行くとしか聞いておりませんが」
「それならば、兄上は私に承認を求める必要はあるまい」

賢者マキシミリアンは、レアンドロ王にターレン王国へ侵入するための事前承認を求めてきた。

「ゼルキス王国からターレン王国への正式な使者としての証書を用意させよう。役に立つかはわからないが、さすがにランベール王も正式な使者を捕らえて殺害すれば、ゼルキス王国やエルフの王国に対する宣戦布告と同じ事だとわかるはずだ。クリフトフ将軍、証書が用意できたら兄上へ渡してくれぬか?」
「御意」

こうしてマキシミリアン公爵夫妻が、ランベール王が即位してから初の正式な外交官として任命されて、ターレン王国へ派遣されることになった。
このレアンドロ王の決断は、隣国から攻め込まれた国の王としてはありえないと思われるが、マキシミリアンの弟として常識で判断していては、賢者の兄の行動を補助しきれないことを経験上よくわかっていた。
国王に承認というよりも、正確には潜入したのをターレン王国から、問い合わせされた時の対応を、今のうちから考えておいてほしいという、連絡に近い意味だと考えるべきだとレアンドロにはわかっている。やると決めたら必ず行動するのが、兄のマキシミリアンなのである。
マキシミリアンと妻のエルフ族の王族セレスティーヌが一緒に行動している。
エルフ族の王国は、樹海の周辺の同盟を結んだ12ヶ国の盟主国で、セレスティーヌにターレン王国のランベール王が危害を加えれば、平原地帯の同盟国すべてがターレン王国と敵対する。
マキシミリアン自身も神聖教団から賢者の称号を与えられ、ゼルキス王国に神聖騎士団を設立し、神聖教団からの依頼を受けて協力してきた実績がある人物で、マキシミリアンはゼルキス王国の要人であると同時に、神聖教団の要人でもある。マキシミリアン殺害されたら、ターレン王国は神聖教団に対し敵対を表明したのと同じ意味になる。
神聖教団は平原地帯の国々や大陸南方の砂漠の先にあるクフサール王国、大河バールより大陸東方のシャーアン王国にもつながりがある。


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