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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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牡のリングと牝の指輪-9

「君はニルス君と交われば、さらに強い護りの力を得て、10日間で死ぬ呪いからきっと解放されるだろう。指輪は死ぬまで外せないがね。それは諦めてもらうしかない。そのかわりニルス君もリングを君が死ぬまで外せない。でも身に契約の呪いを受けることで、他の呪いから身を守ることができるようになるよ。バーテルの都は呪われた人が暮らすには適していない忌み地。風葬地というものを知っているかね。昔の人たちは人の遺体を野ざらしにした。鳥や獣に喰わせ、腐らせて土に還した。それは贄として天地に身を捧げていたからだ。そうしないと神に滅ぼされると考えられていたからだ。人は神に恩恵を求め、その代償を求められることを恐れた」
「なぜ10日間で亡くなるのですか?」
「逆だよ。10日間しか生きられない人を、交わるという儀式で生き延びることができるようにしている」
「交わるという儀式?」
「忌み地に足を踏み入れた力の弱い者は呪われて死ぬ。死にかたはいろいろだ。それはどんな身分の者や性別や年齢も関係なく、呪われたら死ぬ。牡のリングと牝の指輪を装着して交わることを儀式として、蛇神の呪いから。別の古い地神に代償を捧げ護ってもらう。儀式は伴侶と交わるということ。その儀式を怠れば護りは失われ、呪われて死ぬ。伴侶でなければ儀式の効果は半減する。牡のリングと牝の指輪のせいで死ぬわけじゃない」

あまりにエイミーの知る常識の範囲外の話を、ロンダール伯爵が語り始めたので理解できずに困惑していた。
それはニルスも同様である。
ただしバーテルの都ではリングと指輪で契約した者が死んでいる。逸物に取れないリングをぶら下げている。常識外の出来事を目の当たりにしているので認めざる得ない。

エイミーがさらにロンダール伯爵に、どんな答えが返ってくるのか心配しながら質問した。

「なぜ、御主人様と奴隷のあいだに、子が授からないのですか?」
「本来は人の男女が交われば子を女性が孕む。しかし、それを手放すことが代償となる。女性は力に覚醒すると相手の男性より強くなりすぎる。子を孕むには相手との力の均衡が不可欠だから。男性の見えない力か強すぎても、弱すぎてもダメ。でも、ぴったりなら孕むよ」
「それは本当ですか?」
「ただし、子を産むまでは交わりを行わなくても生きられる。子を宿しているということは、リングをつけた者との強いかかわりを持っているから。出産後10日以内に交わるのは危険がある。子を産んだ母親は体が弱っているからね。あとは、子を産めば契約によって身につけた力を失うことがある。護りを失う可能性があるから出産は危険があるけど、そのかわり、生まれた子は、生まれつき母親の力を継いで持っているんだけど」
「子を授かる可能性があるのですね。聞きましたか、ニルス様!」

エイミーが満面の笑みを浮かべて、ニルスを見つめた。

「ロンダール伯爵、このリングと指輪をばらまいた目的はそれですか?」
「リングと指輪の力で覚醒した親と、そのあいだに生まれた子には呪いに抗う力がある。しかし、交わりの儀式を怠る者は護りを失い呪いで死の運命を与えられる。どれだけの者たちが生き延びられるかは賭けだ。子を産めずに贄にされる者もいるだろう。しかし、人が集まるところでリングと指輪の契約の儀式ができる場所も限られているんだ。バーテルの都のような場所、呪われた土地の力をリングと指輪は必要とする。だから呪われた結婚指輪なんだ。でも今、僕らが存在しているということは、昔から続いている生き残りの勝負に勝ってきたんだよ」

リングを装着したあと、ニルスの逸物に変化があった事は問題はないのかエイミーは心配になり、ロンダール伯爵に質問した。

「変化したのか、ニルス君!」
「ええ、以前よりかは、少し太く大きさが増した感じですけど」

ニルスは自分の股間の逸物のことを話に出されて、また他人に説明するのは少し気まずさを感じている。ロンダール伯爵は言った。

「王都の貴族は偽物だらけだと思っていたが、うん、そうか、まだ可能性が残っているかもしれない」
「どういうことですか?」
「なあ、ニルス君、彼女の産んだ自分の子供に、君は会ってみたいとは思わないのか?」

ロンダール伯爵の血筋は、見えない力が強いため普通の女性では、ロンダール伯爵の子を産むことができない。今のところ可能性がある女性は、メイドのアナベルだけである。

「覚醒した女性なら誰でも良いというわけじゃない。力の均衡が必要なんだよ。ああ、僕は自分の娘に甘えられたい!」

覚醒したエイミーと均衡する力がニルスにあれば、エイミーがニルスの子を孕むことができる可能性がある。牡のリングで逸物が増大したのは、ニルスにも不思議な力がある証拠らしい。ニルス自身、その力の自覚はまったくない。

「ふう、エイミーがロンダール伯爵に会いに行くって、どうしても譲らない感じだったから来てみたら。これは賭けに勝ったのか?」
「ニルス様、大勝ちですよ、これは!」

エイミーは、ニルスとのあいだに子を授かる気になっている。危険があるのは覚悟の上なようだ。まだ処女なのに。

「ニルス君とエイミーに、僕から提案があるんだ。このままバーテルの都から離れて、ドレチの村のようなところで村人として隠れて生きていくことも君たちはできる。でも、今度は君たちが僕の賭けに乗らないか?」

ロンダール伯爵は「僕の可愛い妹たち」になれる幼女や少女を保護したい。
ロンダール伯爵領内へ流れてくる子供たちのことはメイドのアナベルの協力もあり確認に余念がない。

「1番星の木札の賭博みたいなものさ。才能のある子をシャンリーより先に見つけてバーテルの都から逃がすんだ。エイミーみたいな才能がある子を、君たちが見つけ出す。もしもシャンリーが君たちより先に見つけ出したら負け。生贄にされて女の子が殺される。見分けるコツはすぐつかめる。この勝負、やってみないか?」


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