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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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伴侶の選択-4


(セストがマルティナの魅力に気づいて惚れてふられたら、たくさん慰めてあげることにしよう。まったく、留守のあいだにセストはマキシミリアンとしばらく一緒にいたから、なんか口がうまくなった気がする)

昼食を終えるとセストは、またひとりで武器庫にこもって、日が暮れるまで装備品の手入れを続けるのだった。目を開けたまま、何度も首をかしげながら、錆び取りなどをしていた。

マルティナの執務室や翌日はゴーレムの研究をしている工房などで、ロエルはマルティナにつきっきりで休暇明けの騎士団会議の日まで一緒にすごした。
世界で一番柔らかくて手ざわりの良いものについて、マルティナから質問されたロエルは、心をこめて手をふれたり、ふれられたりするときに感動して泣きたくなるぐらい気持ちがいいことや、好きな人とするキスや抱き合うときのことを話して聞かせた。単純に手をふれたときの感触の話ではないと教えた。

魔石を使わずに、祓魔師の乙女たちの潜在する魔力を覚醒させ、全身へ巡らせるように誘導するためには、強い感応力が必要となる。
その時に快感の感覚で魔力を感知することが役立つ。そして快感を共感しやすいのは、感情が高揚する恋愛感情がある相手が最適ということになる。
それをミレイユにどうやって説明するべきか、マルティナはロエルに相談した。

「ミレイユは、マルティナの考えているほど、うぶな娘じゃない。話せばすぐに納得するはず。ミレイユは、ノクティス花嫁だから」

力の強い魔物を調伏して従えるという意味を、神官のマルティナは神聖教団で教えられていたようなものではないことをロエルから教えられた。

「ミレイユがノクティスに愛された伴侶のように、リーナは蛇神ラーガに伴侶に選ばれた娘だった」

姉のエルヴィールの霊視させられていた蛇神の淫獄の記憶を、マルティナは血まみれの魔石を手に握った時、姉の記憶から引き継いでいた。
リーナが淫獄の奥で半人半蛇のラーガと遭遇したことも、ロエルはマルティナに話して聞かせた。

「マキシミリアンはエルフ族の姫のセレスティーヌと結婚して、古代エルフ族の伝承を調べた。ノクティスも、蛇神ラーガも、異界に追放するだけで、他の魔獣のようには滅ぼせなかった。この世界で生きている者の思念や感情の化身だから、滅ぼせない。この世界から生きている者がいなくなれば化身の神も滅びる」
「生きている者がいなくなる?」
「でも、ノクティスみたいにミレイユが好きすぎて、融合して異界から、こっちの世界に帰ってきた神もいる。蛇神ラーガは、こっちの世界に来たいのか、もう来たくないのかわからない。なんてなのかわからないけれど花嫁のリーナは欲しくてたまらない。花嫁じゃない他の女性には、とてもひどいことをする。マルティナの姉さんの目を見えなくした。殺して魔力を奪った。私、蛇神が嫌い」
「リーナが蛇神ラーガのところに捧げられたら、どうなるのですか?」
「わからない。マキシミリアンは絶対に蛇神ラーガになんか渡さないって怒っていた。私もリーナを渡したくなかった。だから、マキシミリアンとセレスティーヌを手伝った」

ミレイユは騎士団幹部の全員の前で、この戦いには、終わりというものはないと言った。
ゼルキス王国が建国するよりも、神聖教団が布教を始めるさらに昔から、禍々しき神と伝えられているものとの戦いは続いてきた。
ニアキス丘陵のダンジョンで魔獣が何度でも生成されてくるように、禍々しき神は生成され続ける。
夜の女王ノクティスの伴侶とされ、こちら側の世界にノクティスを召還する依代とされた聖騎士ミレイユ、聖騎士の試練で蛇神に祟られた姉のエルヴィール、異界の門から蛇神の淫獄へ連れ去られ肉体を失った僧侶リーナ、他にも各地で出現した魔獣と戦い死傷したり、失踪した神官や祓魔師たち……長い歴史の中では禍々しき神との戦いで犠牲になった者たちは数多くいたことをロエルから話を聞き実感した。

「私も、蛇神が大嫌いです。今後は貴女を、私もセストさんのように、師匠と呼ばせていただいてもよろしいですか?」

マルティナはせめて辺境の異界の門を破壊して、ゼルキス王国で暮らしている人たちの生活だけは守ると、あらためて心に誓った。

休暇後に行われた作戦会議では、ミレイユが異界で実体化した蛇神を滅しても、この世界で生きている人間の思念や欲望から何度でも生成されるため、戦いは世界から全ての人間が死滅しなければ終わらないことや、夜の女王ノクティスと呼ばれる禍々しき神の伴侶として聖騎士の試練で異界から召還された時、ノクティスと同化してしまっており、すでに人間ではない存在かもしれないことも、祓魔師の乙女たちに語った。

「私のノクティスと融合している。男性と交わろうと魔力が強すぎるため、子を孕むことはできない。さらに、夜の女王ノクティスは恋愛と嫉妬の女神とも伝えられている。誰かと交わったら、その相手は嫉妬したノクティスによって殺害される可能性はある。教団が隠している聖騎士の秘密を話したのは、融合と魔力強化には、代償があることを知ってもらうためだ。さて、ここからが今回の会議の本題だ。魔力強化による護りについて、魔石と肉体の融合というに方法に、問題点があることが諸君の休暇の間に判明した。肉体に魔石を融合することで、意識や記憶を魔石に移すことは可能だが、離れ肉体に戻れなくなる危険がある。ただし、魔石を使わずに、潜在する魔力を覚醒させ、今よりも魔力を使うことが可能となる訓練の方法も、今回、私の父上と母上の親友であるドワーフ族の細工師ロエルと弟子のセストを招いた。ふたりには全面的に協力いただくことになり、貴重な意見をいただくことができたので、今から、参謀官マルティナに説明してもらう」

魔力強化により、障気の中での影響を受けない状態にする。しかし、魔力強化で敵への察知が鈍らないように、感応力の強化も同時に行う必要があるとマルティナは説明した。


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