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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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カルヴィーノの恋人-3


カルヴィーノは、拐われた女性の行方を探していることや、拐った者たちの人相や体つきなどの特徴などをシナエルに教えた。

「その連中は10日前に酒場来てたよ。バーデルの都に行くって話してた。でも女の人は酒場に来てなかったけど。この話は役に立ちそう?」

ツインテールの小顔の華奢な体つきの少女は、酒場に来た客の顔立ちや、名前、何を話していたかなどをしっかり覚えていた。

「やっと見つけた。でも、バーデルの都はやっかいだな、あそこはいつも、人が集まって来ていて多い」
「ねぇ、その連中を相手にしてたお姉さんも、酒場で働いてるから明日、話を聞いてみる?」
「そうだな。頼んでもいいか?」
「ずるいよね。そんな事情を聞いたら、手伝わないわけにはいかないじゃない」

カルヴィーノは、父親ゆずりの人あたりの良さがあった。剣の腕前を隠して、喧嘩は苦手といった雰囲気を出しているのも似ていた。温和な笑顔が印象的な人物で、子爵リーフェンシュタールが時にはその外見からかけ離れた苛烈さから反感を買うことがあっても、側近として常に傍らで緩衝材の役割を果たし、その苛烈さを和らげる良き補佐役となった。

宿屋の部屋から、シナエルに手を出さないで帰した。カルヴィーノは考える時間が欲しかった。
バルテット伯爵が捕縛された情報を、カルヴィーノもパルタの都で聞いている。そのあとはパルタの都にあるバルテット伯爵官邸と同様に、バーデルの都は封鎖されているはずである。
それなのに、胡散臭い連中がバーデルの都に行くと言っていたことが、カルヴィーノには納得できない。実際に行ってみるほうが、噂を集めて想像するるよりも早いということはよくある。
シナエルの話によれば、以前と変わらずフェルベーク伯爵領とロンダール伯爵領からの客が、レルンブラエの街に来ている。これも納得がいかない。バーデルの都の行き帰りに立ち寄る小貴族たちが、バーデルの都に領主のバルテット伯爵が不在にも関わらず、フェルベーク伯爵やロンダール伯爵からの命令でバーデルの都へ往来する目的がわからない。
カルヴィーノはベッドに寝そべると、ため息をついて目を閉じた。子爵シュレーゲルが、手を握り目を潤ませていた表情が浮かんでくる。

シナエルは自分のことや、裏商売について感じていることを、なせがカルヴィーノにかなり話してしまったことに帰り道で気がついて首をかしげていた。
カルヴィーノを、若い小貴族のように酒場では思った。少し高めにふっかけた金額の半分の金額を、話を聞かせてもらった謝礼だと手渡され、抱かずに帰らされたのが気になってしかたがない。
若い小貴族は値切ったあとで、シナエルを抱いてから宿屋から帰らせるか、シナエルの自宅へ酒場から直行して泊まっていく。肉欲を発散したいというのが気取っていても態度や表情から丸わかりの場合がほとんどである。
金払いの良い年齢が上の酒場の客にシナエルは手を出さない。お姉さん連中から嫌われたら、働きずらくなる。金払いの良い客ほど若いシナエルにも誘ってくるが、誘われたからといって相手をすれば客を盗られたとあとから嫌みを言われることもある。最悪の場合は、衛兵に密告されて罰金を払わされることもある。
他の伯爵領の街から流れてきた娘たちが礼儀知らずだとはめられて、酒場から姿を消すこともよくあることだった。

酒場の店員ノーラに、銀貨5枚のチップをシナエルは裏で渡しておいて、カルヴィーノを紹介するとテーブルを離れた。カルヴィーノとノーラがどんな話をしているのかは少し気になるが、紹介したからといって話に割り込むのは仕事の妨害だと思われると損なので、酒場ではカルヴィーノのテーブルにはもう近づかないでおいた。
店の清掃の残業仕事を終えてから宿屋のカルヴィーノが泊まっている部屋にナナエルは行ってみた。ノーラと酒場でかなり話し込んでいたので、カルヴィーノは部屋にひとりで帰って来ているとシナエルは思い込んでいた。
すると、宿屋の受付にいる老婆のペトラが帰ってきてないとシナエルに教えてくれた。なんとなく、自分の客が盗られたと言う人たちの気持ちがシナエルにも、少しわかった気がした。

ノーラはもう我を忘れて、カルヴィーノにしがみついて嬌声を上げながら、めろめろにされていた。
盗賊団がバーデルの都で人を集めていて自分も仲間入りできそうだと客が自慢していた話を、ノーラはがっつり金を貰わないと話す気はなかった。親分に身のまわりの雑用させるつもりで連れて行った女が気に入られて、女を譲ったら仲間になるように誘われたという話である。
これで遊んでから戻って来いと気前よく金を渡され、レルンブラエの街に仲間と豪遊に来た。トーラス盗賊団と言っていたが、ノーラには盗賊団の名前を聞いても、それほど自慢するほどの盗賊団なのかはわからなかった。他にも盗賊団がバーデルで仲間を集めていることも聞いたが、それよりも闇市が開かれていて何でも高値で取引されている話はすごいとノーラは思った。レルンブラエの街で少し高めでも売れそうな物を買って、バーデルの都に持ち込めは確実に儲かる。この情報はあまり気軽に人に話せないことだとノーラでもわかった。
カルヴィーノは念を込めて軽く愛撫をして交わった結果、ノーラは盗賊から聞いた話を、ごまかしなく全部、カルヴィーノから金を取らずにノーラは話してしまっていた。

「だから、私、金貨10枚を渡して、バーデルの都で儲けて増やして来てって頼んじゃった」
「そんな大金をあずけたのか」
「ふふっ、金貨10枚なんて貴方ならすぐに体で稼げそう」
「戻ってくるといいな、金貨10枚。そのトーラスって親分に譲った女の人の名前は、フリーデと言ってたんだね?」
「ええ、たしかにそう言っていたわ」

フリーデはバーデルの都にいる盗賊団の親分のトーラスという男に気に入られたようだ。盗賊たちは盗んだ品物から、他の伯爵領で仕入れた品物まで、闇市で売りさばいている。


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