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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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師匠ロエル-1

「いらっしゃいませ!」

店の扉についた鈴が鳴って、店に入って来たお客に店番の青年セストが見惚れてしまった。

「ロエルさんはいますか?」

青年セストに声をかけ、セレスティーヌが笑顔を見せる。

(は、初めてエルフ族を見たけど、きれいだな。肌とかも、すごいすべすべな感じに見える)

「あ、はい……ちょっとお待ち下さい」

青年セストはあわてて店の奥の工房へ師匠を呼びに言った。

「興奮しすぎ。あー、そういえば教団から手紙届いてたんだった。セスト、工房にマキシミリアン夫妻を案内して」
「えっ……はぁ〜っ、了解……はぁ〜っ」

思わず2回ため息をついて肩を落として店に戻って行く青年セストの様子を、椅子に座って見ていたドワーフ族のロエルは見つめて、くすっ、と小さく笑った。

(なんだ、結婚してるのか〜って感じのへこみかた。わかりやすい)

店の裏口に案内されて、マキシミリアン夫妻が工房に入ってきた。

「ひさしぶり。二人とも元気そうね」

ロエルが立ち上がって、二人のそばに近づいて見上げた。
マキシミリアンも、セレスティーヌも、小柄なロエルよりも背が高い。

「ロエル、やっと店番を頼むことにしたんだね」

マキシミリアンはロエルに言った。

「マキシミリアン、あいかわらず、セレスティーヌとべったりね。夫婦円満のコツは?」
「結婚したらわかるよ」

ロエルの服装は、裸の上にすっきりとした太腿とむちっとした下乳が見えているオーバーオールで、頭には真っ赤な飾り布を巻いている。
小顔で少し吊り目だが、大きな目をしている。ドワーフ族の女性の特徴で、年齢よりもかなり幼く見える。瞳の色は、くすんだ赤みがある黄色みがある薄茶色である。

夫に腕を組んでいるセレスティーヌが、二人の会話に、にっこりと微笑みを浮かべている。

「これはまた、めずらしい素材ね」

リーナの錫杖を作業机に乗せて、ロエルが撫でまわしている。

「どのくらい期間をくれるの?」
「5日間。それ以上は僕とセレスティーヌがルヒャンの都やこの店で警備しなきゃいけなくなる」

獣人の都ルヒャンに、マキシミリアン公爵夫妻は来ていた。
セレスティーヌが、どんな形に加工してもらいたいか、絵に描いてきた巻物を広げてロエルに説明している。

「合成する魔石は?」
「とりあえずこれだけ持ってきたけど、足りなかったら言ってくれ。急いで必要な分だけ集めてくるから」

革の小袋にぎっちり入った魔石をマキシミリアンはロエルに手渡した。ロエルはテーブルの上にひっくり返し、一粒ずつ光に透かして覗きこんたりしながら、より分けていく。

「どうだ?」
「小袋に入れてのは使えないから返す。あと8粒、上質なのが欲しい」

ロエルは使えると判断した魔石の粒を、小箱に収めた。

「セレスティーヌの描いてきたやつも、あずかってもいい?」
「はい、お願いします」

ダンジョンには、エルフ族の隠れ里にある調理道具がなかったので、ロエルに作ってもらった。
エルフ族の隠れ里から道具などを持ち出すのは、掟で禁止になっている。調理道具のあれこれを持ち出すのに、承認を取るのは難しい。持ち出しを許可すると、その後は持ち出していいことになってしまうからである。
マキシミリアンのご先祖の初代ゼルキス王に貸し出しをした炎の槍が消失したので、その後はエルフ族の隠れ里からの道具の持ち出しや貸し出しは禁止となっている。

必要な魔石の種類を聞き出したマキシミリアンとセレスティーヌは、3日後、また魔石を集めて持ってくる約束をして、ロエルの店から、ダンジョンに帰っていった。

店番の青年セストは、ロエルの弟子で恋人である。

「セストは、セレスティーヌみたいな美人が好み?」

セストはベッドでそう聞かれて、困って正直にロエルに説明しようとした。

「ふぅん、そうなのか?」

店と工房の2階は寝室になっている。セストとロエルがつきあう前は、セストは2階は立入禁止で、セストは工房で眠っていた。

「師匠からすれば弟子は奴隷」

セストは、弟子入りした時に言われたことを思い出してしまった。それを聞いたロエルが聞き出してから、セストに背中を向けて顔を見られないようにした。

セストは師匠のロエルが照れたり、恥ずかしがっている顔を隠す癖があるのを知っているので、肩の丸みのあたりをそっと撫でた。

ロエルの作ったハサミに感動して、服作りの職人の家業を継がずに、大陸ぬ北にあるルヒャンの都まで、2年かけてロエルを訪ねて来た。

平原の王国で貴族のドレスを作り、その謝礼で神聖教団の仕掛けを使って、セストはルヒャンの都に来た。そうでなければ、まだ大陸をうろうろ獣人族の行商人にルヒャンの都の噂を聞き出しながら、放浪していたにはずである。

ロエルの変わったオーバーオールの作業着は、セストの手作りのプレゼントで、弟子入りして最初の作品でもあった。

セストの目標は、師匠と同じぐらい見事なハサミを作ることである。

おとなしくセストに肩を撫でられているロエルから、
「ん……もう1回したいの?」
と聞かれてセストは、どきっとして、撫でるのを止めると返事をせずに、仰向けに寝そべった。

ロエルはセストに腕枕をしてもらい、セストの体を撫でるとクスクスと笑う。

「セストの乳首は敏感。硬くなった」
「お師匠様、だめです、そんなにさわられたら」
「下のほうも、さわってほしい?」

今夜は師匠がちょっと積極的なので、どうしたんですか、とセストが聞いた。
どうやら、親友のマキシミリアン夫妻の仲良しな様子を見て、ちょっぴり、うらやましくなったらしい。

「たしかに、店から出ても、手をつないで歩いてましたね。俺たちも明日から、外で手をつないで歩きますか?」
「やだ!」


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