背信の美少女-2
たっぷりと余韻を過ごした後、里美と穂花は、今日は誰が田中にテストの便宜を計りに行っているのか気になり見に行く事にした。
「栗山美樹ちゃんとか噂ありますよね。」
「遠山朱音さんなんかも噂あるわ。」
「結構みんなしてるんですね…」
「本来、こんな事を教師が受け入れちゃいけないんだけどね。」
そう言いながら教官室に忍び寄る。
すると廊下を誰かが歩いてくる音がした。2人は慌てて隠れて様子を見る。するとセーラー服姿の生徒が教官室の前に立つのが見えた。そしてその生徒を見て里美は驚いた。
(えっ??さ、沙織!?)
里美は目を疑った。そこに立っていたのは沙織だったからだ。
(嘘でしょ!?何で沙織が…!?)
沙織はこんな事をしなくてもテストではいつも優秀な成績を収めているし、だいたいこんな事をするような子でないのは里美が1番良く知っている。なのに沙織が自分と同じ事をするだなんて信じられなかった。それは穂花も同じ気持ちだった。教師の間では1番人気だったが、絶対有り得ない事だとみんな諦めていた。何の目的でここに来たのか意味が分からなかった。
影からソーッと覗いている2人には全く気づかない沙織。教官室のドアをノックした。
「はい。」
中にからは田中の声が聞こえた。
「倉田です。」
沙織がそう言うと田中は「待ってたぞ、中へ入りなさい。」と答える。
「失礼します。」
沙織はドアを開けて中へと入って行った。穂花と里美はすぐに教官室のドアの前に屈み、ドアをソーッと少し開けて中を覗き見した。
デスクの椅子に座る田中と、その前に立つ沙織の姿が見えた。
「待ってたぞ、倉田。何の相談だ?」
「は、はい。先生にお願いがありまして…。」
「お願いとは何だ?」
田中は最終的に沙織がどうするのか勘づいている為、いやらしい含み笑いを浮かべていた。
「あの…、私、最近成績が思わしくなくて、この間の模擬テストで学年順位を落としてしまったんです。」
「ああ、みたいだな。」
「私、どうしても東京都大学に入りたくて、ここに来て内申書に響くような成績だといけないんです。」
「でもまぁ次頑張ればいいんじゃないのか?」
「はい…、ですが…」
緊張しているのか、沙織は少し言葉に詰まった。