カルテ3 木村怜香 32才独身 脳神経外科医-7
幸介が感じてくれているのかが心配になる。
自分の気持ちを相手に伝えたくて心臓がキュンと縮む。
お願い、感じて幸介さん・・・
不乱に喉と舌と唇で奉仕を続けた。
できたら身体全体で奉仕したかった。
これが女なのね
これが人間なのね
そう悟ったとき、怜香の脳裏に渉が表れた。
そうか、渉ごめん。
今まで、ごめんね。
愛してる、あいしている。
渉への愛に気付いたとき、怜香の口から幸介が出て行った。
幸介は固定された怜香の両足を開放し足首をつかんで大きく開いた。
両腕はまだ椅子に固定されたままだ。
長い脚が綺麗なV字型を作った。
V字の中心を凝視する幸介。
それを見つめる怜香は、大切な何かを失ってしまう恐怖感、大切な人を裏切ってしまう罪悪感、そして失ってしまうかもしれない焦燥感を持った。
「い、いやです、そこは、そこだけはいや!」
無駄な抵抗と知りつつ、グッと両脚に力をこめた。
幸介は怜香の顔に視線を向けた。
怜香は願いをこめて幸介の瞳を見つめた。
お願い、ゆるして・・・と思いをこめて。
しかし、幸介は尿と愛液でグッショリと濡れた怜香に屹立した自分を押し当てる。
「いや、だめ。いや、やめて。お願いやめて!」
怜香が叫ぶ。
そして、小さな声でつぶやいた。
「そこは、そこは渉のモノなの。もう渉だけのものなの」
だが、幸介はなおも腰を押し付け挿入しようとする。
先端が半分まで隠れた。
怜香は恐怖した。
ひどく大きなモノが強引に侵入してくる。
「お願い、お願いします。止めて、止めてください。そこだけは、そこだけは許して」
先端部分の全てが挿入された。
「いや、いやよ!助けて、渉、助けて!わたし犯される」
幸介は挿入したものをゆっくりと戻した。
「お願い、幸介さんお願いです・・・」
懇願する怜香の腕を幸介は解き放つ。
そして怜香の頭を自分の胸に抱いた。
「ごめん。ごめんなさい幸介さん。わたし、わたし、渉にひどいことをしていたの。あやまらなくちゃいけないの。彼、許してくれるかわからないけど、わたしの身体彼に抱いて欲しい。もう、もう渉だけのものって。だから、だから、ごめんなさい幸介さん」
怜香が泣きじゃくっている。
幸介が黒い髪を優しく撫でながら怜香に言った。
「いいんですよ怜香先生。治療完了」
うつむいていた怜香が顔をあげ幸介を見た。
人形のような顔は涙で濡れ化粧も落ちている。
でも、今が一番美しいと幸介は思った。
怜香の顔に微笑がよみがえる。
「ありがとう ドクター幸介」
怜香の声は優しく変わった。
「診察料高いよ」
幸介は、ちょっと惜しかったなと思いながら笑った。
カルテ2 木村怜香(きむられいか)32才独身 脳神経外科医
完治
・・・
藤堂倫との出会いから2週間が経過していた。
幸介の携帯には倫からのメールが入っていた。
「幸介さん 何しています? 倫」
シンプルなメールだった。
しばらく画面を見つめた後、幸介は携帯を閉じた。
(開放に向かっているな・・・)
幸介は少し安心している。