カルテ1 藤堂倫 27歳 新聞記者-7
幸介が花びらをゆっくりと押し開いていく。
大きな先端だったが、零れるほどに濡れた膣は抵抗なく受け入れていった。
倫は、瞳を閉じている。
インサートの感触を残すことなく感じるために、それを味わうのに邪魔がはいらぬよう瞳を閉じた。
(来る、私の中に入ってくる、やっと)
倫の意識に浮かぶ言葉を幸介は読んでいた。
そして、ゆっくりと侵入を進める。
倫はその感覚を楽しんでいた。
しかし、幸介は途中で止まってしまう。
(どうしたの? もっともっと頂戴)
倫は思う。
もちろん幸介には解っている。
だが幸介は動かない。
だから、倫は自分から迎え入れようと腰を動かした。
しかしその分だけ幸介は逃げてしまう。
「幸介さんどうして?もっと頂戴!奥まで・・・」
倫は言葉にしながら、自分の両手をそこに運んだ。
幸介を逃がさないために。
しかし幸介は容赦なく抜きさってしまう。
「いやよ、いや」
倫は首を振って感情を表した。
縁のない眼鏡が顔から外れた。
幸介はいったん倫の外に出ると、再び侵入を開始する。
倫の下腹部は再び圧迫感が復活する。
幸介はそんなインサートを繰り返した。
入口から中ほどまでを往復させる。
(意地悪! どうして? どうして奥まで入れたがらないのだろう)
幸介の肩を両手でつかみながら、倫は思った。
クチュクチュとかき出す音が聞こえる。
(もっと欲しい。もっと奥まで欲しい)
幸介を望むように大量の愛液を流している。
だが、倫の内部に変化が起こりはじめた。
初めて経験する感覚に戸惑いはじめる。
逝けそうで逝けない。
単純に焦れったいのでなく、それ自体が快感へと変わっていく。
変
変よ
私の変みたい
熱い
すごく熱い
溶けちゃいそう
出そう
漏れちゃう
おしっこ・・・漏れそう
そして、その快感に呑み込まれていく。
あ
ああ
あああ
いい
これ、いいの
幸介さん、すごい
もちろん倫の思いは幸介に伝わっている。
だが倫は幸介の能力を知らない。
だから倫は素直に言葉にした。
「いい、いいの、幸介さん、そこ、そこがいいの。あっ、きそう。凄い、こんなの、こんなのって」
中途半端に思えるインサートにも極みを迎え果てそうだった。
幸介は肩に食い込む指の力を確認しながら身体を動かし続けた。
次第に自分を引き寄せようとする力が強くなってくる。
そろそろだと、溜めていた欲求を解放してやる。
根元まで一気に押し込んだ。
「うっ、うあっ、うああ」
倫の奥深くに衝撃が走った。
倫は叫ぶ。
「す、すごい、あたる、あたってる」
子宮で幸介を受け止めていた。
倫は征服されている錯覚に陥る。
(私はもう、もう幸介のもの。もうダメ、この人から離れられない・・・)
征服されることが快感だった。
「いいの、いいのよ、幸介さん、もっとして、もっと!」
叫びながら上半身を仰け反らせ腰を使った。
肩に置いた両手を背中に回し、幸介の胸板に豊かな胸の膨らみを押し付ける。
シーツは汗とかき混ぜられた潤滑液でジットリと濡れていた。
「ダメダメ、わたし、いっちゃう、いっちゃうわ、いく、いくう、いくう〜」
倫は果てた。
潮のように迸らせて果てた。
深くふかく達した。
倫が達した後も幸介の動きは変わらない。
奥深くを貫いたまま動き続けた。
変わらぬ攻撃にまたしても絶頂が襲ってくる。
「あ、いく、またイっちゃう〜」
自分の意思を無視して勝手にこみ上げてくる。
何度絶頂を迎えたかわからない。
そして、倫の意識が遠ざかろうとしたその瞬間。
ひときわ深く突き入れた後、幸介が抜き去り倫の腹部に強かに精を放った。
「うあっ! いい〜、熱い〜、凄い〜、イっくううう〜」
倫も同時に達し、遠のきつつある意識の中で思った。
やっと出会えた・・・と。
そして幸介の胸に抱かれて眠った。
初診は成功かな・・・幸介は思った。
カルテ1の1.藤堂 倫(とうどう りん)二七才 独身 新聞記者
継続治療の要あり。