操り人形-4
ピッタリとくっついた四角いビニール袋の中に、股布をぐっしょりと濡らした水色のパンティが収められていた。
{やっぱり下着は上下セットでないと。コッチの汗の匂いが染みついたブラジャーも、真空パックにてお届けいたします}
「い…や…ッッ……イヤあッ!!!」
購買意欲を高める為に、夏美の《辱め》の証の付いた下着をDVD購入者にプレゼントするとは……。
彩花は全身の力が抜け落ち、両手首に体重を任せて項垂れてしまった。
「……やめて…ッ!な、なんなのホントにッ……やめろおぉッ!!!」
不規則な痙攣が起きた眉毛は、苦しげに湾曲しながらつり上がっていた。
ワナワナと震えて落ち着きを無くした唇は顎までも揺らし、その小刻みな揺れに下唇が迫り出している。
男共は笑いを堪えられない。
必死になって探していた夏美は、性被害者になっていた挙げ句、性の切り売りまでされていた。
その現実を知らされた親友の彩花の絶望の表情は、どんな女優であっても表せない《顔》をしている。
{マニアの方には好評な通学カバンもご用意しております。国語や物理の教科書に……几帳面に書かれたノートもございますね}
「やめろおッ!!……こんなコトッ…こん…ッ…こんなコトが……ッッ」
制服はもちろん、通学カバンから教科書まで、夏美の所有物の全てが購入特典としてバラ撒かれる。
何もかもが《商品》にされ、凶悪なレイプDVDに対価を支払うカスゴミにも劣る《ウジ虫共》にプレゼントにされていた。
もう頭の中はグチャグチャだ。
なにも整理がつかない。
もはや焦点すら定まらなくなってしまった彩花の胸を、無慈悲にも抉ぐる台詞を耳にした瞬間、底の見えぬ深い絶望に襲われて飲み込まれた……。
{もちろん忘れていませんよ?夏美ちゃんのオマンコに生えてたお毛毛≠セってご用意しております。香しい臭いを嗅いだりチュパチュパしゃぶり回しながら作品をお楽しみください}
「ッ〜〜〜〜〜」
……あの笑顔にはもう出会えない。
親友の夏美は彩花の現在にも未来にも無く、過去にしか存在しない……強い目眩に足元が揺らぎ、視界からは色彩が褪せて原型が分からなくなるほどに造形が歪む……。