操り人形-17
『ボク達はさあ、なっちゃん彩花ちゃんときたら、次は浅井先生を拉致っちゃうつもりなんだよ?ンフッ!?酷いヤツだと思わない?』
「ッ………!!!」
高橋は冷酷な計画を改めて彩花へ告げた。
それを聞いた彩花は突き出た下唇をギュッと噛み、涙ながらに精一杯の睨みを利かせてきた。
目の前の美少女の怒りや殺意が、簡単に消えるものではないと誰もが思っている。
夏美の凌辱動画に精神的なダメージを受け、その心痛と同時進行で快楽に咽いだ自分自身への嫌悪と自信喪失に弱音≠ェ出ただけだ。
『ああ、浅井先生じゃお客様への情報が不足してるよねえ?〇〇高校一年C組担任の〈浅井唯〉って名前の食材……だよね、彩花ちゃん?』
「ッッッッ!!!」
高橋が担任教師の名前をフルネームで喋ると、彩花はギョッとしてますます目を剥いた。
……バカな女だ。
高橋は全く期待を裏切らない彩花という美少女に哀れみすら感じていた。
男共は彩花にかずさ≠重ねてみている。
高校生の時に変質者を粉砕した奥村かずさは、お客様からの憎悪と欲望を一身に受けてくれた。
『女のクセに男に歯向かうなど言語道断』
捻じ曲がった《男尊女卑》を胸に秘め、凛として悪の性犯罪者に立ち向かう強き女性を捩じ伏せて姦したいと願うお客様は、挙って奥村かずさのDVDを購入してくれた。
そして井元彩花である。
撮影冒頭の一撃は、見事に決まっていた。
[痴漢逮捕]という素晴らしい行動をとった新庄由芽を、ネチネチと嬲り回したあの男を、たった一蹴りでノックアウトした。
その直後の浴びせかけた罵声も、実に生意気で素晴らしい。
更には「ブッ殺す」とまで叫び、反逆不可能な緊縛の最中にでも闘う姿勢を見せ続けてくれた。
夏美の動画くらいで弱々しくなられては困る。
最後の最後まで牙を剥いて敵意を表し、そして轟沈して破れ去るというストーリーは、もう男共の計画に入っているのだ。
『ちょっとお、浅井唯って名前は今はシークレットなはずじゃないのぉ?』
『あ〜もう、お客様に名前が知られちゃったよお。こりゃあもうDVDを作るしかないよねえ?』
「な…ッ…なんなのッ!?人をオモチャみたいにッッ!なに笑ってるのよ…ッ!!」
『だって《楽しい》じゃない?そうやって芋づる式≠ノ姦るのが一番楽しいよお?母親から娘とか、会社の部下から上司とかさあ?』
高橋達の煽りに、彩花は乗ってしまっていた。
額には薄らと青筋が浮き、目も眉毛も再びつり上がり始めていた。
男共は彩花の精々の頑張り≠ノ期待している。
撮影冒頭のブチギレには遠く及ばないが、消えずに燻り続ける炭火のような怒りがみえていればそれでいい……。
「う"ッ!?ち、ちょッッ…!?まッ…また私にぃッッッ!!!」
佐々木は彩花の背後に回り込んでしゃがみ、佐藤は股間を眼前に捉えるべく片足を床につけて座った。
独り占めも好いが、彩花に絶望的な苦しみを与えるならば三人掛かりでの《悪戯》が一番効くだろう。