その10 茶道講師の女を茶室で調教-3
房江は私のことを(ご主人様 )と呼んでいる。
そのように私の愛奴となっている房江にはそれが自然に出てくるのだろう。
私が客人として茶室に座っていることで、房江は少し緊張をしている。
当然、房江のその気持ちは私しか知らない。
なぜならば、ときおりチラと私を見る房江の顔が緊張しているからだ。
その時、私は客人として振る舞い、微塵にも妖しい気配をしなかった。
房江と約束をしていたからだった。
約束とは、以前に私は房江とラブホテルで密会をしていたことがある。
初めはキチンとした茶会で、茶を楽しみ、その後で調教をすると言う私の計画だった。
その約束が明日になるという、二人だけの茶会の前の夜だった。
「房江、明日の夕刻の二人だけの初めて茶会になるね」
「はい、初めての二人だけの茶会です、私も楽しみです」
「この間の約束を憶えているよな?」
「あら、なんでしたっけ?」
二人とも忙しかったので、しばらく会っていなかった。
「二人だけの時には、茶会の後で茶室で調教をするという話しさ」
「はい、そうでした、でも本当に……ですか?」
「そうだよ、お前もスリルがあるって言っていたしね」
「はい、そうでした……明日でしたか、忘れていました」
「大丈夫だ、私は変なことはしないよ、前に言っただろう、約束をするって」
「は、はい……でも本当にするのですね、ご主人様 、信じても良いのですよね」
「もちろんさ、お前を茶会の世界から引き摺り出すようなことはしないさ」
「あ、ありがとうございます、ご主人様 、嬉しいです」
そのときの私を見つめる房江の目は泣いていた。
「そうだよ、お前の言うとうりにしよう、私もそのつもりだ、房江」
「あっ……ありがとうございます、ご主人様 !」
房江が、茶道の講師として、常に凛としている人物とは思えなかった。
「その代わり、今夜は尽くしてくれるのかな?」
「もちろんですとも、ご主人様 、大好きです!」
房江は嬉し涙を浮かべながら私に抱きついてきた。
私が房江を抱き締めると仄かな香水の香りがする。
その香は、いつもは付けていない女らしい香りだった。
「さあ、房江、裸になって私にお前を見せておくれ」
「はい、承知いたしました、ご主人様 」
歯にかみながら、房江は私の前で後ろを向き、服を脱ぎ始めた。
どこか、仄かなる女の甘い香りがする。
それは、とても上品な香りだった。