M松崎明日香 再び-3
「あれは夫が誤送信したようなの。夫も君の消したって言葉を信じているわ。
それが削除されていないのが分かったら大変なことになるわよ。」
「そうだね。帰宅したらすぐ両親のエッチ映像は消すよ。」
「分かったわ。それなら夫には内緒にしてあげる。だから全部消すのよ。」
「僕、小さい時から勉強ばっかりやらされていたから気付いたら恋も女も経験した事が無いんだ。
そんな時、美しい明日香さんが目の前に現れたんだ。
僕の周りのたった一人の女性なんだ。しかも飛び切りの美人で僕のタイプなんだ。
一度だけだけどしゃぶってくれたし、濡れたアソコに指の挿入も許してくれた。
童貞の僕にとっては女神様なんだ。
そんな宝物の映像を消すなんて出来ないよ。」
母にとってオナニーの映像も恥ずかしいだろうが不倫の証拠映像がなにより恐ろしいはずだ。
「絶対誰にも見せないよ。もうアレがないとオナニーも出来ないくらい僕の生活の必需品になっているんだ。」
「誰にも見せないって言ったって翔はまだ16歳の少年よ。感情の起伏の激しい年齢だわ。
ちょっとした事で切れたり事件を起こしてニュースになったりしているじゃないの。心配だわ。」
「うん。そうなんだ。時々あれをネタに母さんに筆おろしを頼もうかなんて思うこともあるよ。
思うだけで実行出来ないけれどね。母さんを困らせたくないんだ。」
「その気持ちは嬉しいわ。それなら私の為にそれを消してよ。」
それとかアレとか言い合っているが【明日香(Mと)】の事だ。ここまで追い詰めれば十分だ。
「母さんもう帰るよ。誰にも見せないって約束するよ。」
「ちょっと待って。リビングでモンブランもう一つ食べない?翔とゆっくり話すなんて初めてじゃないの。」
自分が翔を避けた事も忘れて必死だ。
玄関で「母さんが僕の部屋掃除しに来てくれたら消してもいいかな。」小さくつぶやいて実家を後にする。
(翔の部屋を掃除しに行けば結果は火を見るより明らかだわ。それじゃあの子の思うツボじゃないの。)
毎日不安な日が続くが明日香は動かない。頭の良い翔が家庭を崩壊させるような行動をとるはずが無い。
それが明日香が動かない根拠だ。
ある日の夕食、父も一緒だった。
「友達んとこコンビニやってるんだけど、売り上げと現金が毎日合わなくて困っているんだ。
父さんの店はそんな事はないよね。」
「いや、時々はあるよ。それより店長が毎日辻褄を合わせているふしがあるんだ。
足りない時は自腹を切って補充している様なので店長の給与はその分上乗せしているんだけど
実際はそのコンビニと同じで毎日だと思うよ。」
「それじゃ何の解決にもならないよ。
売上金をピンハネしているバイトの子がいるとしたら止めてあげないとその子の為にもならないよ。」
「解ってはいるんだけど難しい問題だよ。」
「友達ンとこのコンビニその問題を解決したようなんだ。」
カウンターの向こうで母が聞き耳をたてている。
「答えは簡単さ。監視カメラを最新のものに替えその内の1台をレジに向けたのさ。
今の若い子はカメラの性能を知っててレジに触れる指先の動きまで録画されるのが分かっているんだ。」
「そんなに鮮明に撮れるのか?」
「母さんも知っているけどそれは見事な物ですよ。」
「なんで明日香がそんな事知ってるんだ?」
「この映像を見たからですよ。」
父の前でスマホをかざす。
(あぁ駄目よ。夫に見せないで。)
「本当だ。舐めている舌の動きまでハッキリ見えているな。」
明日香は夫から飛んでくる罵声を覚悟した。
「これ犬種はチワワだな。飼い主の顔を舐めまくっている。」
(ハァ〜違った。驚かせないでよ。)
だがこんな調子で見せてしまうかも知れないという不安は払拭出来ない。