楓ママ-1
授業が終わり、女子が数人集まり、放課後に遊びに行く計画を立てている。
「楓も行くでしょ?」
「ゴメン、今日は家の手伝いがある」
「お店のバイトまだ見つからないの?」
「夕方からのシフトが見つからないんだよね(笑)」
「それは大変だね」
「早く見つかると良いね」
倉科楓(17)は母親が経営する喫茶店の手伝いをしている。
「ただいま(笑)」
「お帰り楓・・・これからラストまで忙しくなるからね」
「はぁ〜い」
商店街の一角にある店は、夜7時を過ぎると店を閉めた店主たちが集まり、夕食と酒を楽しむのだ。
家族で店を経営する店主たちはみな、夕食を作らずにココに集合し、情報を交換しながら、
リフレッシュして飲み会になるのだ。昼間よりもココから盛り上がる店なのだ。
ママは大皿に家庭料理を何種類も作り、お客さんはそれを自由に取り、1500円のセット料金で、飲み放題食べ放題だ、私は大量の取り皿をセットし、サーバーのビールをチェックしグラスを準備した。
料理上手のママは、お客さんの希望があれば、追加で料理を作って出す為、評判も良く会計の時は、
夫婦で4000円の支払いをして、満足して帰って行った。
夜の10時半に閉店し、後片づけをして11時近くに上の部屋へ帰るのだ。
「楓のクラスにバイトする男子いないの?」
「見た目以上にハードだから根を上げるんじゃない(笑)」
「素直で頑張り屋の僕を探してきなさいよ(笑)」
「そんな条件の良いバイトがいるなら私が雇いたいわよママ(笑)」
「彼氏で良いわよ(笑)」
「忙しい私に彼氏がいる訳ないじゃない」
「そうかぁ〜」
ママと二人で生活して来た楓は、ママの容姿と明るく男勝りの性格を受け継いでいる。
クラスでは結構男子に人気の高い女子だ。
「倉科さん少し時間良いですか?」
「何?坂本・・・」
「あのぅ・・・昼休みにお話があります」
「今じゃなくて昼休み?」
「ハイ、おねがいします」
「仕方ないなぁ〜いいよ(笑)」
「ありがとうございます」
坂本慎吾、クラスでは目立たない大人しい男子で、コソコソしている感じが、性格が明るい楓には
少しイラッとする虐めたくなる男子だ。
昼休みの坂本の話は、楓に対しての告白だった。
断る事は簡単だったが、ママからの依頼もある事だし、店に呼んでママに面接させて、使えないなら、
切れば良いと思った。
「私、家の手伝いがあるから坂本が家に来て、手伝ってくれるなら詳しく話し聞くよ(笑)」
「判りました(笑)帰りにお店に寄らせてもらいます(笑)」
放課後、楓は坂本を連れて、店に帰って行った。
「ただいまぁ〜(笑)」
「お帰り楓・・・」
「こんにちはお姉さん」
「誰?この子(笑)」
「私のクラスの坂本・・・」
「楓の友達ねぇ〜(笑)」
「坂本慎吾です(笑)」
「楓に誘われて着いて来たんだぁ〜(笑)」
「ちち違います、僕がお願いして着いて来ました」
「楓は忙しいから一緒にいたいなら、手伝いなさいよ(笑)」
「ハイ手伝います」
坂本は楓と一緒に居れるチャンスに二つ返事でOKした。
「制服のままではお手伝いにならないわね(笑)着替えなさい」
黒のズボンと黒のベストを渡すと、更衣室に案内した。
「素直そうな僕じゃない(笑)」
「私が好きなんだってぇ〜(笑)」
「あら〜(笑)彼氏?」
「あんなコソコソしたヤツタイプじゃないわよ(笑)」
「へぇ〜コソコソしているんだぁ〜(笑)」
「ママの希望する僕タイプかと思って面接よ(笑)」
「あの子、結構・・・良いわよ(笑)」
「そうなのかなぁ〜」
「素質があるわね(笑)顔が完全に飼い犬タイプよ(笑)」
「バイト要員でしょ(笑)」
「色々とあるのよ(笑)ココにも採用する条件が(笑)」
「へぇ〜色々と厳しい条件があるんだぁ」
二人が話していると、坂本が着替えて現れた。
坂本は黒のパンツに黒のベスを着て、スマートな若い店員に変身していた。
「似合うじゃない(笑)」
「ありがとうございます、お姉さん」
「そのお姉さんって私に言っているの?」
「ハイ」
「楓・・・この子、私をお姉さんだってぇ〜(笑)」
二人が楽しそうに笑うので、坂本は??状態でフリーズした。
「坂本、私のママだよ(笑)お姉さんじゃなくてぇ〜(笑)」
「あぁぁすすすいません、お母様でしたか」
「若く見えたなら謝る事、ないでしょオバサンに見えたの?」
「ちちがいます、キレイな楓さんのお姉さんだと思っていました」
「なら許してあげるけど・・・もう少しМ男要素を消せない?」
楓ママにМ男と指摘され、坂本は全身が震え、顔が真っ赤に湯でタコのようになった。
「そう言う所ヨ(笑)慎吾・・・」
「ハイ楓ママ」
楓は坂本を見ていて、М男だと思っていなかったが、ママの指摘に坂本の反応を観ると、
かなりのドМ男だという事が、判って来た。
ママに指摘されてから、坂本は私を見ずにママばかりを観ていた。
「楓、慎吾はね(笑)命令させてその命令に従う事で興奮するタイプなのよ(笑)」
「この子は私が面倒を見るから、あなたは余計な事を周りに話さないでよ、いいわね」
「坂本それで良いの?」
「楓ママの言う通りだと思います(笑)」
「何?完全にママの飼い犬じゃない(笑)」
楓の言葉に坂本は嬉しそうに微笑み、楓ママの言葉を待つように待機していた。
「慎吾、カウンターに入りなさい」
ママの指示に素直に答える坂本、ママの隣で緊張している。
楓ママは、楓に不足している野菜や色々を買い物に行くように指示すると、慎吾に色々と
教えていた。
楓は少し楽になると坂本を連れてきたことを成功だと思った。