家族旅行での出来事 同窓会タイム 2-8
「そ。だから今日だって、いきなりどこかであったりするかもしれないよ。」
「ああ。ねえ、匠君。そんなこと言われたら……。わたし……。」
「あ。ごめんごめん。驚いちゃうよね。
そもそも、二人とも、こんな格好なんだもんな。」
匠はしまったという顔をした。
「ううん。そうじゃないの。もしも見つかったらって考えたら……。」
「だから…ごめんごめん。そんなこと、無いよ。大丈夫だよ。」
「ううん。見つかったら見つかったで構わないわ。
見せてあげればいいんだわ。」
「見せるって……。
香澄。ボクらがしているところを担任に見せるって言ってるのかい?
「ええ。見られても構わないわ。
それでなんか言われたら、わたし、先生のもしゃぶっちゃう。」
「えっ?あの担任のをかい?」
「ええ。そうよ。わたしの言ってることって、おかしい?」
「いや、おかしくはないけど……。」
「だって、こんなところを見つかったら退学なんでしょ?
日曜日の学校に忍び込んで、二人とも全裸で……。
しかもフェラまでしているのよ。」
「いや……でも……。」
「ううん。今見つかったんだったらフェラをしてたってことだけで済むけれど、
もう少し後で見つかったら、きっと本番の真っ最中よ。」
「セックスの真っ最中を、担任に見つかる……。」
「だったら、担任も共犯にしちゃうしかないじゃない。」
「共犯にするって?」
「だから、匠君は担任をその気にさせて、わたしを犯させるのよ。」
「香澄を犯す?」
「ええ。匠君と担任とわたしの3P。
ね?そしたら担任だって、わたしたちのことを表沙汰にはできないでしょ?」
「なるほどね……。」
「ほら、だから安心して……。」
香澄は匠に腰の動きを促しながら、自分も大きく腰をくねらせ始めた。
香澄は匠だけが真実の暴露をしていることに腹が立ってきたのだ。
今更匠に暴露するような、隠し事はなかったが、
多少の脚色をして、匠のペースを崩してやろうと考えた。
香澄は高校時代のクラス担任の顔を思い浮かべようとした。
やせ型の、背の高い、30代後半の男性だったことは覚えていたが、
顔は思い出せなかった。
匠に好意を寄せる前に、ほんの少しの間だけ、
憧れに似た感情を持っていたことだけは覚えている。
もちろん、その担任に抱かれたり、ペニスをしゃぶったりするなど、
想像もしたことはなかった。
しかし今は、そんな担任と3Pをしようなどという話題を自分から口にしている。
(思い切って、担任とも関係があったって言ってみようかしら。
匠君は驚くかしら。
案外、あっさりと納得しちゃったりして……。)
ピチャピチャという音が階段に響き始める。
「あうっ。あ、い、いい。」
「ああ。匠君。わたしの股間から……。」
「ああ、香澄。太ももを伝って……。」
「わたしのマン汁よ。匠君のペニスが、中から掻き出したのよ。」
「香澄。床が……床まで濡れちゃってるよ。」
「ああ。見つかっちゃう。見つかっちゃうわ。
ねえ、担任に……ううん。綾乃と史恵が来たら、
わたしたちがここでセックスしていたっていうことがばれちゃうわ。」
「か、香澄。」
「どうしたの?匠君。」
「しゃぶって……しゃぶってくれないか?」
「どうしたの?急に。」
「香澄の、フェラチオ、急に思い出して……。」
「セックスの真っ最中なのに?」
「だ、ダメかい?」
「う〜ん。仕方ないなあ。」
香澄は名残惜しそうに腰を引くと、匠の足元にしゃがんだ。
「どうしていきなりフェラが欲しくなったの?」
「一度……。香澄の口に……出してもいいだろ?」
「どうして?」
「飲んで欲しいんだ。今、ここで。」
「なんかしら、理由があるんでしょ?匠君。また何かを思い出した?」
「い、いや、別にそういうわけじゃないけど……。」
匠は、そう言いながらも、香澄と目を合わせようとしなかった。
(なんだろう。なにかありそう……。匠君の秘密……。)
セックスの途中でいきなりフェラチオを求めてきたのには、
何かしら理由がありそうだった。
それが綾乃に関することなのか、史恵に関することなのか、
今の時点では、香澄には全く想像がつかなかった。
もしかすると、綾乃でも史恵でもなく、
それ以外の、匠の高校時代に関わる思い出に関することなのかもしれない。
(なんだろう。担任は男だったし……。
高校時代の匠君にかかわりがあった女性……。
???英語の?えっ?伊藤先生?まさか……あ、でも……。
えっ?でも、なんで?フェラチオ?
それとも、階段?文化祭?
なんだろう。
それ以外は……。クラスメイトの三井さん?友田さん?
国語の……渡部先生?えっ?誰だろう。
やっぱり副担任の……田中先生?
あっ、教育実習生の高橋……先生……高橋……高橋……加寿美?かすみ……。)
香澄の中で、突然、記憶の糸がつながった。
高校3年生の文化祭の前後、香澄たちのクラスには教育実習生が来ていたのだ。
大学4年の高橋先生。確か下の名前が加寿美だった。
彼女が自己紹介した時に、
クラスのみんなが騒いて香澄の方を見たことを急に思い出したのだ。
一度記憶の糸がつながり始めると、その意図はさらに広がりを見せながら、
様々な出来事が次から次へと思い出されてきた。