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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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家族旅行での出来事 同窓会タイム 2-3

「でも、別にタイムマシンに乗って過去に戻るわけじゃないのよ。
 戻った気になって話したって、結局は今なんでしょ?」
史恵はなんとなく不服そうな顔をして言った。

「でも、話せた分、気持ちが軽くなるかもしれないわ。」
そういう綾乃の言葉にうなずきながら香澄も言った。
「そう。そしてわたしも……。
 綾乃や史恵たちに隠し事をされていたという、
 嫌な思い出をキレイに捨て去ることができるわ。」
「香澄……。」

「ねえ、どうせなら……。
 その場がより盛り上がるんだったら、
 多少の脚色も有りっていうことにしない?」
香澄は目をキラキラさせながら、楽しくて仕方ないといった顔で言った。
「ウソでもいいってこと?」
「ええ。全くの作り話はダメだけど、多少の脚色はあり。
 少しくらい大げさな話にしたり、盛ったりしてもいいってこと。 
 それに、その方が、後々楽だと思うの。」

「後々が楽?何が楽、なの?」
「だって、すべてが本当だっていうことになったら、
 ああ、自分はずっと騙されていたんだっていうことになるでしょ?
 でも、多少の脚色が入っているかも、っていう条件があれば、
 自分の都合のいいように解釈できるじゃない。」
「自分の都合のいいように?」
「そう。つまり……。
 ああ、これは本当じゃないんだな。
 この場を盛り上げるための脚色なんだ。
 わたしは騙されていたわけじゃないんだ……。
 って、自分でいい方に解釈できるってことよ。」
「真実はともかくとして、騙されていた自分にならずに済むっていうことか……。」

「そうよ。良い方にも、良い様にも、解釈できるわ。」
「でも、そんな面倒なこと、なぜ必要なの?」
「言ってみれば、予防線かしら。自分が傷つかないための。」
「ああ。同時に、人を傷つけないため、でもあるかな。」
「そうね。お互いに、改めて昔の真実を知ることはちょっと怖いもの。」

そうだった。
これは、香澄自身、自分が傷つかずに済むために張った予防線だった。
匠と綾乃の関係修復のためには、気持ち的にあの頃に戻ることが必要だった。
それにはリアリティーが必要だった。
しかし、そのリアリティーを追求することは、
とんでもない秘密の暴露につながる恐れもあったのだ。

知りたい。でも知りたくない。
もしも、真実を知ってしまったら、
自分はどうなってしまうだろう。
真実を知りたいという興味と、真実を知ってしまった時の恐怖が、
香澄に予防線を張らせたのだ。

「う〜ん。まあ、香澄がそう言うんだったら……。あ、綾乃はどうなの?」
「わたしも……あの頃に戻って、あの頃のわたしになり切れれば……。
 香澄に本当のことが言えるような気がするわ。」
綾乃はやはり、香澄に対する、
申し訳ないという気持ちを捨てきれずにいるようだった。

またしばらくの沈黙が4人を襲った。
再び、重苦しい空気に耐えきれなくなった史恵が沈黙を破った。
「そっか。じゃあ、戻りますか……って言っても、
 そう簡単にそのつもりになれるもの?」
「そうね。史恵や香澄に興奮していた匠君だって、
 いざ、わたしを目の前にしたら、
 やっぱり今に戻って、萎えちゃうんじゃないかしら。」
綾乃は匠に対しても、大きな負い目を背負っているようだった。

「外見のことを言い始めたら誰だっておんなじよ。
 どう見たって、16,7歳には見えないんだし……。」
「まあ、そこはお互い様だけどね。」

「じゃあ、いっそのこと、みんな、目隠しをする?」
「目隠し?」
「ええ。ほら、あの頃、顔は見ないで股間だけ見て、
 だれか当てるとかしたじゃない?
 それとは少し違うけれど、目からの情報をゼロにするの。
 そしてあの頃のような気持ちで、あの頃にいるみたいな会話をする。」

香澄はあのアパートでの股間をツルツルにして臨んだ、
ペニスやオマ〇コ、オッパイの形だけで人物を当てるという、
あの日の趣向を思い出したのだ。

「でも、それじゃあ動けないでしょ?」
「じゃあ、真っ暗闇にするとか……。」
「う〜ん。見える、見えないってことじゃないような気がするなあ。」
「要はその気になりきるっていうことでしょ?高校時代のあの頃に……。」

「つまり……。
 ああ、高校時代なんだって納得するようなものがあればいいってことよね。
 このメンバーがそろっているっていうだけでも、
 わたしはけっこう、あの頃に戻っているような気になるんだけどなあ。」
「あの頃にはやった曲でも流してみる?」
「やだ、年齢がばれちゃうじゃない。」
「…………。」

(何かいい方法はないかしら。匠君の意識を高校時代に戻して、
 わたしたちも高校生になりきれるような方法は……。)

「あ〜あ。例えば学校に行ってみたら、
 少しはそんな気分になるかもしれないけどね。」
史恵は大きなあくびをしながらつぶやいた。

(学校?学校の廊下?)
「そうだわ。ねえ、ちょっと廊下に出てみない?」

香澄は3人の背中を押しながら廊下に出た。
「なになに?どうしたのさ、香澄。」
「いいからいいから。ほら、こっちに来て。」
そう言って歩き出した香澄の後ろについて、
4人は特別室を出て、廊下を歩き始めた。
「ちょっと香澄。どこに行くつもり?」

しばらく歩いてから立ち止まった香澄が、
後ろを振り向き、廊下の先を指さしながら3人に言った。
「ね?似てるでしょ?」
香澄は自信と懐かしさに溢れた顔で周りを見回した。


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