母親との再会-1
オマケ【スペシャリストのレクチャー】
【母親との再会】
「久しぶりね。どうしたの?優希(ゆき)の方から連絡くれるなんて。あたし、嫌われてたんじゃなかたっけ?」
日曜日の午後。待ち合わせのカフェに現れた優花(ゆうか)が、久しぶりに会う娘の向かいに座りながら、淡々と言葉を並べた。それでも優花は嬉しそうだった。
「仕方がないじゃない。男を作って出ていったんだから」
辛辣な言葉を返した優希だったが、言葉の内容ほど表情は固くなかった。
「それを言われると堪えるけど事実だもんね。ごめんなさい」
落ち込んだ優花がテーブルに手を付けて頭を下げた。
「やだ、そんなつもりで言ったんじゃないよ。頭を上げてよ」
優しげな娘の様子に、優花は戸惑った。
「優希、少し雰囲気変わったんじゃない。前はそんなこと絶対言わなかったでしょ」
「前は口も利かなかったもんね」
「それだけ嫌われてたんだ…」
優花が再び落ち込んだ。
「だから、責めるために呼んだんじゃないって。今は凄く感謝してるんだから。あっ、注文は?なに飲むの」
「あっ、じゃあ、アイスティのストレートをお願いします。で、どういうことよ?」
会話の内容に興味津々のウェイトレスに注文を伝え、改めて優花が向き直った。
「あのね。お母さんに教えて欲しいことがあるの」
「なに?あたしにわかること?」
「お母さんにしか聞けないことよ。あのね…」
優希は内緒話を始めるように、手を口に添えて優花に顔を近づけた。それに応じて優花も身を乗り出した。
「お母さんってセックス好きなんでしょ」
「なっ!」
思ってもいなかったことを聞かれて優花は絶句した。
「うふふ、いいからいいから、驚かないの。あたしももう子供じゃないし。この意味、お母さんならわかるでしょ」
「あら、優希ったら女になったの」
驚きはしたが、普通の女親のように心配はしなかった。
「さすがお母さん、その道のスペシャリストね。娘の告白に堂々としてる」
「その道ってなによ。セックスのスペシャリストって意味?」
優花が軽く睨んだ。しかし、優希に堪えた様子はなかった。
「そうそう。で、セックス好きなんでしょ。隠さなくてもいいから」
男で離婚したことを知っているのだ。その娘にここまで言われた優花も開き直ることにした。