拭いきれぬ幻想-7
いきなり一人の男が下半身を露出させ、愛に股間を向けて仁王立ちになった。
亀とも蛇ともとれる其れはニョッキリと反り返って愛に迫り、先っぽの小さな穴から涎の如き粘液がドロドロと溢れ出ていた。
『っとぉ。何処に行くの愛ちゃん?』
『電気ビリビリのお仕置きされたいのかなあ〜?』
咄嗟に愛は逃げようとしていた。
だがリードは握られ、首輪も男根を曝す男に掴まれていた。
白いソックスを履いた両足が、虚しく床の上を滑る……そして愛の泣き言を掻き消すように、スタンガンはバチバチと笑いだした……。
{何がそんなに気持ち良いんだ?ほら叫べ!叫べよ雪絵ぇ!}
{くはあぁッ!!ち…チンポッ!チン…ッ…くふぅッ!?チンポぉッ!}
あの母と同じ真似を、自分にもさせるつもりだ……。
愛は恐怖に匹敵するほどの悔しさを感じ、縋るような目をリードを掴んでいる男に向ける。
「ひぅッ…ヒック!わたッ…私…ッ…ヒック……む、無理です…ッ」
自分は母とは違う。
こんな奇怪な生物のような男性器を握るなど気持ち悪くて出来ない。
母より年上の男が向けてくる吐き気すら覚える性的な欲望に、自分は応えたくないと訴えた。
『無理なコトないよ?さっきママがノリノリで触ってたの観てたでしょ?』
『ほら見てぇ?おチンチンにメロメロになって甘えっ子になっちゃったよ、愛ちゃんのママがさあ〜』
「ッ………!!!」
聳り立つ男根の隣りにモニターが差し出され、その画面には男の胸の上に崩れ落ちた母の姿があった。
カメラはぐるりと回り、重なり合う二人の結合部をドアップで撮りだす。
肛門まで覆いつくす真っ黒な陰毛……その密林を割くようにして現れている妖しい淫花に、あの異形の化け物が汁を散らして強烈な突き上げを喰らわせている……。
性行為と呼ぶにはあまりに惨たらしく、しかし、母は歓喜に悶えて雄叫びのような喘ぎを繰り返していた。
{雪絵……綺麗だよ…?}
{そ、そんなッッ…ぷおぉおッ!?}
「……………ッッッッ!」
男が求めたのか、母が求めたのか……いや、もうどうでもよかった……互いに舌と唾液を交わらせての熱烈な接吻を見せつける二人は、もっと激しく股間を打ちつけて狂おしく躍る。
獣だ……母とは違う誰かとは、獣の本性を曝け出した川上雪絵の事だ……。
『観たでしょ?思わずキスしたくなっちゃうくらい、おチンチンは女にとって〈好いモノ〉なんだよ』
「ヒック!ヒックッ…で、でも無理ッ…やっぱり出来ませ……ひゃあぁッ!?」
『だから教えてあげる≠じゃないか。優しく教えられるのと、スパルタでやられるのとどっちがイイのかなあ?』
頭をスタンガンで小突かれた愛は、顎から涙を滴らせながら両手を伸ばしていく。
か細い指が触れる前から男根の熱がチリチリと伝わり、落ち着かなく震えている指先が軽く接触しただけで、男根は大袈裟に跳ねて下腹部をペチンと叩いた。