家族旅行での出来事 1日目 夜の狂宴 その2-9
「どうだった?」
しばらくして、ようやく香澄が雅和に尋ねた。
雅和はあきれたような声で香澄を問い詰める。
「香澄。いつ、こんなテクニックを覚えた?
征爾さんじゃないな。
そうか。田辺、とかいう男か。
いや、それともあの時に……。」
夫の言葉にあきれ返った香澄は、それでも極めて平静を装いながら夫に言った。
「で、結論は誰なの?」
「香澄だ。今のが、香澄だ。」
「じゃあ、さっきのは?」
「さっきの?さっきのは……。う〜ん。」
「まあ、いいわ。じゃあ、最後ね。」
真央と真奈美は必死に笑いを堪えている。
自信満々だった雅和がこんなにも混乱している様子を目の当たりにして、
孝志は、次にはこれが自分に巡ってくるのだと思うと、
雅和のことを笑うことはできなかった。
(これって……。高校時代の、まるであの時みたいだわ。)
香澄は、高校時代の、あの雅也のアパートで行われた、
ツルツルに剃った股間を見て誰であるかを当てるという、
今、考えれば何の意味もない、それでいて、当時はあんなにも夢中になった、
あの光景を思い出していた。
(匠君。雅也さん、健さん、悠司さん……?ああ、名前、ちゃんと思い出せないわ。
ああ、でも、あの頃って、なんて馬鹿なことに夢中になっていたんだろう。
今にして思えば、ただただ懐かしいだけだわ。)
香澄が再び真央を促した。
真央と真奈美は顔を見合わせ、互いに譲り合っている。
彼女たちなりに、この先の雅和の運命が見えているのだろう。
二人は揃って香澄を見てうなずいた。
香澄は夫のペニスに、そっと唇を近づけていく。
そしてその先端に触れるか触れないかのところで息を吹きかけたのだ。
生暖かい息が雅和のペニスの先端を襲う。
全く予想していなかった刺激に、雅和は思わず飛び上がるほど驚いた。
そしてその驚きは、雅和の腰の奥の方まで響き、
絶妙の快感となって全身へと広がっていった。
雅和のペニスは今まで以上に大量の血液を集め、
その先端はツルツルに輝いている。
香澄はその先端部分を、そっと舐め始めた。
そしてそのままカリの裏側へ舌先を進め、先端の溝の方に向かって舐め上げたいった。
その後香澄は、口の中にためた唾液をペニスに絡ませるようにしてから、
ジュボジュボと音を立てながら夫のペニスを出し入れし始めたのだ。
「あ、あ、ちょ、ちょっと、待って。」
雅和はそう言って、自分の股間へ手を伸ばし、ペニスを咥えた人物の顔に手をかけた。
「ちょ、ちょっと、ストップ。」
香澄は顔の輪郭で正体がばれないよう、素早く股間から顔を離し、
真奈美の横に並んだ。
「どうしたの?あなた。
まさか、今のフェラがよすぎて、いきそうになったんじゃないでしょうね?」
香澄は嘲るように言いながら、雅和の目を覆ったタオルを外した。
「さあ、最後のフェラは、誰だったと思う?」
「さ、最後のは……。真奈美だ。
あんな大胆、というか……。想像を超えたフェラをするのは、真奈美だ。」
「ホント?真奈美で間違いない?」
「ああ。間違いないさ。真奈美のフェラは、何度も経験しているからね。
今のは間違いなく、真奈美だ。」
「……そういうことよ、孝志君。」
「はい。あの……。顔を見るって、大事なことなんですね。」
「そう、そうなの。そうなのよ。
今、自分が、誰と何をしているか。
それをしっかりと自覚しているっていうことって、ものすごく大事なことなの。」
「父親にも、それをしっかりと自覚させろ、っていうことでう、ね?」
「ええ。どさくさで、真央ちゃんを抱かせても意味はないわ。
真央ちゃんとわかっていて抱かせるか、
あるいは、抱いている途中で、相手が真央ちゃんだったと判らせるか。
あくまでも、ご本人がしっかりと認識することが重要よ。」
「決定的な証拠、っていうことですね?」
「ええ。視覚でも聴覚でも、なんでもいいわ。
自分が抱いた相手、ペニスを挿入した相手が、
自分の娘の真央ちゃんだっていうことを、
お父様にしっかりと認識していただくことが、一番大事なことよ。
わたしはそう思う。」
香澄は雅和に結果を告げないまま、次は孝志がタオルで目を覆った。
孝志は真央のフェラと、真奈美のフェラ、香澄のフェラを見事に感じ分けた。
真央のフェラは、今までに何十回、何百回となく受けているので、
孝志が当てて当然と言えた。
しかし、初めてのフェラで、香澄のフェラと真奈美のフェラを見事に見分けたのには、
見ていた雅和が一番驚いていた。
「孝志君。なんで、そんなにはっきりと言い切れるんだい?」
「何がって……。ボクには全く別のものに感じましたから……。」
孝志はそう言って、真奈美と香澄のフェラの違いについて話し始めた。
孝志曰く、口の中の温もり、だという。
香澄のフェラと真奈美のフェラは、とてもよく似ていて、
テクニックだけを考えていたら、その違いには気づかないという。
真奈美も、征爾に認められていただけあって、
初めに行った香澄のフェラの咥え方や舐め方、吸い方までも真似したのだ。
真奈美が香澄を真似ることで、自分の本来のテクニックを行使しなっただけに、
孝志にも二人の違いは明確にはわかなかったという。
しかし二人の決定的な違いが、口の中の温もりだったというのだ。
そして、それは、前に孝志が言っていた、
いく時の声、と密接に関係しているというのだ。
面目を失った雅和は少ししょぼんとしているように、香澄には見えた。
(いい薬だわ。これで少しは謙虚になるといいんだけど……。)